精霊の国8
高速を解いた黒い腕は魔物を包み込んでさらに強化する
「ディアブデロ、メガ!」
体にまとった腕が元々ある腕と共に襲ってくる
自分の腕すら切り離して操ってる不気味さに少し体が震えた
剣で腕をさばいていく
私の刀が放つ精霊の力のおかげか、襲って来た腕のいくつかが消滅する
すると魔物は腕の数をさらに増やして攻撃を激化させた
「ん、くぅ! この!」
数が多いため、このままだとじり貧
「だ、大英霊猫召喚! アケビ!」
なんとか合間を縫って大英霊猫を召喚できた
その名はアケビ
かつて忍び頭だったトリックスター
「アケビ推参。主殿、状況は理解できました。敵を討ちます」
彼女は猫獣人で、黒い装束を纏っている
顔を見たことがないため、青い瞳の目だけがキラキラと光る
手で印を結ぶアケビ
「ニャン法、風遁、秋風!」
モミジが舞い、襲い来る腕を斬り裂く
「ニャン法、火遁、猫尾火!」
尻尾から炎の弾が数個撃ちだされる
それが腕に当たった瞬間大爆発を起こした
「私も! 猫剣術、猫日和!」
ふわりとした動きで、まるで重力がないかのように動いて相手に動きを錯覚させて、気づいたら懐に潜り込まれる。という剣技
これは猫精霊のキンメというお姉さんに教えてもらった剣技で、個対多を想定とした戦い方なのよ
いっきに腕を斬り裂いて、魔物の両肩を切り落とした
すると舞っていた彼自身の手が落ちる
「エルラヴァーソウル!」
横なぎの斬りつけにハートがキラキラと輝いて傷口をさらに広げる
「ぐおぉおおお!! ぐあがあああ!! クソが!クソがぁあ! デヴォリテラ、アモン!」
地面に足を思いっきり打ち付ける魔物
そして地面にひびが入り、彼は飲み込まれて行った
「自滅、した?」
「はっ、お気をつけなされ主様! なにか、来ます!」
地割れから大きな手がズボッと出てきて、さらに割れ目を広げて巨大な何かが這い出してきた
「ハハハハハハハ!! いいぞ、最高の調子だ! これがあの方の力の一端。これが、悪魔の力!」
男の魔力が先ほどと桁外れに強化されている
こんなの、こんなのどうやって、倒せば・・・
絶望で膝をついた時
「まだ膝をつくのは速いぞ!」
聞き覚えのある声がして、悪魔となった男の右腕が斬り落とされた