妖精の国6
キジトラが案内してくれたのは大きな桜の木がある広場
その桜の木の下に一人の男が立っている
「そこのお前!」
私はそいつに話しかけた
「ぐ、あ、逃げてくれ、俺から離れろ。駄目だ抑えきれないんだ。俺は、魔物になんてなりたくない。あいつらには、ついて行けなかったんだ。犯罪ばかり犯して、あいつらは、最低だ。俺は抜けるんだ。抜けてやり直すんだ。正しい道を・・・、ぐ、あああああああああ!!」
男の姿が黒い狼型の魔物に変わった
「グルルルルル」
鑑定で見ると、称号は正しき者、子供の護りて、守護者など、心が正しい人にしかない称号が並んでた
ここまで自分が魔物化するのを抑えていたことから、彼はこのパーティーの良心だったんだろう・・・
何とか魔物化を解いてあげたいけど、一体どうすれば
「ミア、私に任せて」
「大丈夫?」
「うん、私の力ならもしかしたら」
フィオナちゃんが剣を抜いて構えた
「いくよ!」
狼の動きは速いけど、フィオナちゃんはそれに見事に対応している
爪や牙による攻撃を巧みにかわし、受け流し、狼の懐に潜り込んだ
「エルラヴァ、リターナー!」
剣の切っ先を胸元につきつけ、そこからハートが飛び出すと狼を包み込んだ
「お願い、戻って」
狼の毛が抜け落ち、だんだんと人型に変わって行った
「良かった、戻ってくれたみたい」
男性は気を失っている
「この方、この方だけは他の者をいさめ、私達に謝ってくれました。この方の面倒は私達で見ます」
ララフェルは彼を背負って戻って行った
「あと一人。丁度かかったみたいだから急ごうフィオナちゃん」
「うん!」
赤茶の子によって発見された最後の一人、というか一匹
その魔力の感じから、他の三人とは比べ物にならないほど魔物化が進んでる
しかも魔力量が桁違い
赤茶の目を通して見たけど、そいつは剣士の恰好をしていて、見た目は人間そのもので、とても魔物化しているようには見えない
それでも感じる魔力は魔物特有のものだった