転生者の国4
「あれはだめじゃ、女神を殺しうる兵器じゃ」
「平気じゃなかったね、兵器だけに」
「そうじゃの」
私の渾身のダジャレにも反応しないほど憔悴しているお母さんだった
「次はあれにしようぞ、絶叫系とやらはわらわには無理じゃ」
お母さんは今度はメルヘンなメリーゴーラウンドを指さす
乗ってるのは子供達ばかり
「あのお母さん、お子さんしか乗ってませんよ」
「なら子供になればいい」
あそっか
私とお母さんは八から十歳くらいの子供に変わって、三人で一緒に乗り込んだ
「ほほ、これは馬かえ? ん? ユニコーンがおる。こっちはペガサスじゃ」
喜ぶ姿はまんまお子様だ
かく言う私も久しぶりに乗るから案外楽しいかも
フィオナちゃんなんてまっさきにユニコーンに乗ってる
「わらわはこっちで娘と一緒に乗ろうかの」
私はお母さんに手を引かれてペガサスが引く馬車に乗った
「これなら二人で乗れるからの。娘と一緒に楽しむのじゃ」
ああもしかして、この女神は一生懸命母親らしくあろうとしているのかもしれない
ここは娘としてしっかり答えなきゃ
「私も、お母さんと楽しみたい」
ほわぁと顔が緩み、私に抱き着くお母さん
「うむ、うむ、楽しもう」
泣くほど嬉しかったのね・・・
前世での母親は私が物心つく前に男を作って出て行ってしまったらしい
私は男で一つで育てられたから、母親というものを知らない
お父さんは私をたくさん愛してくれたし、私もお父さんが大好きだった
でもお母さんに憧れがあった
精いっぱい甘えよう。今世での本当のお母さんなわけだしね
メリーゴーラウンドがゆっくりと動き出し、上下し始める
馬車の方は固定されてると思いきや、こっちも上下するんだ
「おお、これなら気持ちよく乗れるのぉ。うむ、気に入った。眠くなりそうじゃ」
お母さんが楽しそうで何より
それに、私の手をずっと握っててくれてる
何だろう、この暖かい気持ち
私もその手をギュッと握り返した
メリーゴーラウンドも終わり、次はコーヒーカップ
フィオナちゃんが激しく回転させてたけど、私もお母さんも目は回さなかった
この辺はバッドステータス扱いなのか、無効化したみたい
むしろ回していたフィオナちゃんが口を押えてトイレに駆け込む羽目に
そろそろお昼の時間ってことで、ランド内にある飲食店を探すことにした