蟲人族の国4
到着した瞬間、たくさんの蟲人族の戦士たちに囲まれた
「お前たち何者だ! なぜイジュラを連れている! まさか集落を襲いに来たのか? 良い度胸だ。イジュラ相手ならば多くの犠牲は免れないだろうが、国を消されるよりはましだ!」
「ちょちょ、ちょっと待ってください! この子は私達の友達です! それに私達は国を襲いに来たんじゃなくて、ただ観光に来ただけなんです」
「観光だと? 護衛もつけずに子供だけでここまで来れるはずないだろう。お前たちは子供に化けた敵に違いない」
「違うってば、こっちは勇者、私は精霊!」
「精霊、様・・・?」
私の正体をしっかりと視て、全員が武器を降ろして跪いた
「申し訳ございません精霊様! とんだご無礼をいたしました!」
彼らにとって精霊は自然の恵みをもたらせてくれる大切な存在
私は猫精霊だけど、彼らは全ての精霊を尊敬している。と、トガツメヒメさんの日誌に書かれていた
「本日はどのようなご用でしょうか?」
「えっとね、あなた達の国を観光させてほしいんだ本当にただの観光だから、何も気にせず普段通りで」
「そ、そのようなことで良いのですか? かしこまりました。ところで、なぜイジュラが?」
「イジュラってこの子のことだよね? この子は勇者であるこのフィオナちゃんが懐柔して、友達になったんだ」
「なんと! 勇者様の力でしたか! ありがとうございます。イジュラは畑の作物を荒らしまわっていまして、討伐隊を組んで向かうも半端な速さではなく、いつも逃げられていたのです」
どうやら彼らには勝てないと見て逃げ続けていたらしい
そこを私達に遭遇
自分よりかなり小さな相手だからね。勝てるとふんだんだと思う
まあ相手が悪かったんだけど
「この子はもうイジュラって名前じゃなくて、ヘラクルって名前になったの。これからは皆を守ってくれるよう言っておくね」
「ありがとうございます勇者様。では私達からは彼に作物の分け前を与えましょう」
「だってヘラクル。これからは悪いことせずにみんなと仲良くできる?」
「グルル!」
あ、かわいい
かっこいい見た目なのに声が猫の喉ならしみたいですごくいい
ヘラクルはここに住めることになり、私達は蟲人族の女性、名前はアズラルさん。彼に案内してもらえることになった