蟲人族の国1
早朝、誰も起きていない時間に私達は旅立った
女神の娘と言うことがばれてしまったため、何か祀り上げられそうな気配を感じ、フィオナちゃんと相談して夜明け前に旅立つことにしたのよ
「ふわぁ、まだ眠いよ」
「ごめんねフィオナちゃん、私のせいで」
「ううん、このくらいなんてことないよ。それより次はどこに行くの?」
「えっと、ここからだと東の森、ローブル大森林の最奥にある蟲人族の国がいいかな? 危険な魔物がたくさん出る森の奥地だから、あまり観光って感じじゃないかもしれないけど、トガツメヒメさんの手記によると、すごくいい人たちらしいよ。それにほら、この時期は彼らの繁殖期で、女王が誕生するから宴が開かれてるんだって。来れるなら外からの客人ももてなしてくれるみたい」
蟲人族は女王を主体としたコロニーを形成していて、いうなれば蜂や蟻に近い生態をしてる
ほとんどの人が女性で、男性はその繁殖期だけに生まれて、女王と子を成したらすぐに亡くなってしまうらしい
そこも蜂や蟻と似てるね
でも生まれる蟲人族の見た目は様々な昆虫形態をしてるみたい
「ローブル大森林は、えっと、あっちの出入り口から出たら近いみたい」
街の地図を見ながら東出入口を通り、街道沿いに進んでからローブル大森林へと入って行った
街道沿いの森が全てローブルで、ところどころに道?と思われる通りがあった
そのどれもが一応蟲人族の国に続いてるんだって
もちろん魔物は危険で、運が悪いとネームドになりそうな危険魔物も出る
気を引き締めて行かないと、そんな魔物たちの餌食になりそう
蟲人族は一人一人が屈強でかなり強いから、この森の魔物に負けることはなく、ネームドも複数人で囲んで倒しちゃうんだって
ちなみに女性だけで女王だけが子供を産むけど、過去に他のヒト種と恋愛して、子供も出来た話があるから、どうやら女王の子供達にもちゃんと生殖機能はあるみたい
昆虫の形態を持ってはいるけど、擬人化したかのような姿をしてるって書かれてる
獣道のような道を進んで、時々出る魔物を倒しながら蟲人族の国イーセットを目指してひたすら歩いた