リザードマンの国11
「崇めよ、称えよ! わらわこそこの世界の唯一神、バステトである!」
「・・・」
「おお我が娘ミアよ。今宵は祭じゃろう? 娘もおるものじゃから思わず降臨してぶぎゃ」
「何してるんですかバステト様! 急に出て来るから皆びっくりしてるじゃない!」
「バステト様などと他人行儀な。ママでよい」
・・・
この前私がバステト様の娘だってわかってから、バステト様のママアピールがすごい
「ミ、ミアさんが、バステト様の、娘様・・・!? と、とんだご無礼を!!」
全員が平伏する
これが嫌だったから明かしてないのに
「あの、ここはあえてお母さんと呼ばせてもらいます」
「なんじゃ娘よ」
「あまり言いふらさないで下さい。私とあなたの関係を」
「な、なんじゃと! 娘よ、あれか? 反抗期、反抗期なのか?」
「違います! ほら、皆びっくりして平伏しちゃって、私への対応がすっかり変わっちゃうんですよ! 私は、皆と対等でいたい。こんな風に敬われたりするのは不本意なんです!」
「そうじゃったか・・・。配慮が足らなかったな。すまぬ、わらわ帰る」
「あ、待ってください。折角なので祭りは一緒に楽しみましょうよ。お母さん」
「おお、おお、そうじゃなそうじゃな。お主たち、わらわたちはただの観光客として接しておくれ、娘との観光を楽しむだけじゃ」
それに安心したのか、皆もとの祭りへと戻って行った
「フィオナも緊張するでない。親戚のおばちゃんとでも思うのじゃ」
こんな強い親戚のおばちゃんがいるかって突っ込みは飲み込んで、私は今世での母と共に祭を楽しんだ
まあところどころ祀りになってた気もするけど、バステトお母さんが楽しんでたからいいか
「ふぅ、楽しかったのぉミア。わらわは神界に帰る故、またいつでも恋しくなったら呼ぶがよい」
バステトお母さんは私を抱きしめて、頭を愛しそうに撫でて、神界へと帰って行った
前世以来の温かみ
フィオナちゃんも家族として接してくれるけど、母親の愛をくれるのは母親しかいないからね・・・
祭りも終わり、私達は明日新たな国へ旅立つことにした