鳥人族の国11
倒した魔物を調べていると、とんでもないことが分かった
魔物の中から生体反応がする
「何か分かりましたか? ミア様」
「トトランさん、少し下がってて」
私は蛇の腹を裂いた
すると内部から蛇の肉に癒着するようにラジュクスが現れた
どうやら気を失ってるみたいで、命に別状はなさそう
これってもしかして
そう思って私は癒着を慎重に剥がして、ラジュクスさんに回復魔法をかけた
「う、うう」
目を覚ますラジュクスさん
「私は・・・。ここは一体・・・」
「ラジュクスさん、ですよね?」
「はい、あなたは?」
「私はミア。あなた、蛇の魔物から出てきたんだけど、何か覚えてる?」
少し頭を抱えるラジュクスさん
「私は、バードランドに向かう途中の道で魔物に襲われて、そこから記憶がありません・・・。あ、ぞうです! その蛇の魔物に襲われたんです!」
どうやらこのラジュクスさん、この魔物に襲われて、姿を奪われてたみたい
この蛇は食べた者の姿形から記憶、さらには魔力やスキルまで完全にコピーできるみたい
「トトランさん、この方も被害者みたいです」
「そのようですね・・・。また振り出し、ですね」
「あ、あの、蛇の記憶か分かりませんが、この蛇、何かに命令されていたようで、その、靄がかかっているかのようで曖昧なのですが、恐らく女性、だと思います」
「女性? 姿とかは分かりますか?」
「シルエットくらいですが、大きな帽子と、タクト型の杖を使っています」
「ありがとうございますラジュクスさん。ゆっくり休んで下さい」
警備兵さんたちに、ラジュクスさんを治療院まで運んでもらい、一応ラジュクスさんが被害者である旨のおふれも出してもらった
偽物とはいえ、あんな大勢の前で魔物になったのを見られたからね
勘違いしてる人もいるだろうし
「トトランさん、大きな帽子にタクト型の杖、この街にそんな人、心当たりはないかな?」
「そうですね・・・。魔術師や魔法使いなら結構いるでしょうが、魔物を使役し、人をあれほど精巧に操れるとなると絞られます。と言うより一人しかいません」
「それってもしかして」
「はい、Aランク冒険者の」
「カルカルさん」
「ええ、ですが、彼女に限ってあり得ません。この街は彼女の故郷でもあるんです。しかもルグルグさんとは親戚関係にあります」
「それでも、確認してみないと。ね」
早速私達は冒険者ギルドのある商業区へ走った