鳥人族の国9
「ああその話か。わしも気になっておった。ルグルグとは幼馴染。あやつが襲われたと聞いて心配だったのじゃ。どうじゃ? 奴は元気か?」
「あ、はい・・・」
あれ? おかしい
この人がけしかけたものだと思ったけど、この件に関わっていない?
目で視てみたけど、本当に何もわからないみたい
もしかしてと思い、彼女を調べてみると、あの時暴れた男と同じ魔力の残り香があった
「大丈夫ですかドララド様!」
「ああ、警備の者か。わしは大丈夫じゃ。少し驚いただけじゃからな。ところでなぜここへ? ルグルグ襲撃事件の犯人が分かったのか?」
「それがその」
「ドララドさん、ここ最近で記憶がすっぽり抜けてるところってありませんか?」
「ん・・・? うーん、おおそうじゃ、先週半日ほど何をしておったか覚えておらんときがあってな。朝起きて、気づいたら昼じゃった。てっきり年のせいで二度寝したのかと思っておったが・・・。もしやそれが何か関係しておるのか?」
さすが長だけあって聡明
すぐこちらの意図を理解してくれたみたい
私達は全てを説明した
「なんと・・・。わしが、操られてルグルグを襲わせておった、じゃと・・・。わしは、わしは何ということを」
頭を抱え、明らかに落ち込むドララドさん
「操られていたんです。貴方に比はありません」
「じゃが、もしもそれでルグルグが、わしの親友が殺されていたと思うと」
「必ず犯人は私達が捕まえます! だから落ち込まずに安心して待っていてください!」
「すまない・・・。わしは少し部屋で休む。ミア殿と言ったな? よろしく頼む」
彼女は居間らしき部屋から自室へと移動した
「ミア様。ドララド様のためにも、事件解決のご協力をお願いします」
この人、ずっと一緒について来てくれてる警備兵長さん
名前はトトランさんと言って、少し彼のステータスを見てみたけど、かなり強い
冒険者で言うとBランクは行くんじゃないかなってくらい
この人が手伝ってくれるなら安心だね
それにしても、この少しの魔力の痕跡だけしか残さないなんて、そうとう洗脳魔法に長けてると見てる
つまりかなり手練れの魔法使いが関与してるはずなんだよね
「ねえトトランさん。この街にかなりの魔法の使い手っている?」
「・・・。うーん、二人ほどいますね。一人はAランク冒険者パーティーの魔導士、カルカルさん。そしてもう一人は、バスティア教会の司祭、ラジュクスさんですね。カルカルさんは非常に温厚な大鷲の鳥人族です。ラジュクスさんはよく知りません。最近この街のバスティア教会の司祭になったばかりですので」
最近なった・・・。これは怪しいかも
と言うわけで南区の奥にあるバスティア教会に向かった