鳥人族の国7
翌朝報告が来た
もちろんあの暗殺者たちにつけていた分体からね
この子は名前もないうまれたままの分体だから、意思疎通は自身が見た映像でのやり取りと、軽い猫言葉くらいしかできない
で、報告によると、男たちは誰も依頼者を吐かずに、歯に仕込んでいた毒で死んだそうだ
これは厄介
死体を調べてみたみたいだけど、装備やらローブやら、どこにでもあって、手掛かりが全くつかめなかった
ふむぅ、観光旅行中だけど仕方ない
この街を発展させて、皆に慕われて、私の分体がめちゃくちゃに懐いちゃってるルグルグさん
そんな彼が狙われてるなら、助けないと
「フィオナちゃん、私ちょっと出て来るね」
「ルグルグさんの事件を解決しようとしてるんでしょ?」
「よくわかるね」
「分かるよ。家族だもん。でも危なくなったらすぐ呼んでね」
「うん! ありがとうフィオナちゃん」
私は腰かけていたベッドから立ち上がると、すぐにルグルグさんに会いに行った
あ、分体のことは黙っておいて、猫と喋れる、というか猫だから通訳できるってことで、この事件に絡んでいこうと思うよ
ルグルグさんの家、おっきいのはおっきいんだけど、これならもっと大きな家がそこら中にある
倹約家なのかも
警備の人に話して、私が元勇者の仲間と知るとすぐに入れてくれた
「ホホホ、君がバララスラの勇者の。あの大事件解決の立役者のミアさんだね。会えてうれしいよ」
好々爺だ。好々爺としか言いようがない優しいおじいちゃんだ
「実は、ルグルグさんが狙われているという話を聞きまして、私なら約に立てるかなと。来た次第です」
「なんと、私のような者のために。ありがたい」
「それでですね。私、猫なので猫と話せるんですよ。その子、多分目撃してるでしょうし、ちょっとお話を聞いてもいいですか?」
「ああ、この子ですか、最近私の家に来まして、あまりの可愛さにうちの子になってもらったんですよ。独り身ですからね。家族が増えて嬉しいです。名前はヌイトロと言いまして、古代語で優しいという意味ですね」
「優しい・・・。いい名前ですね!」
私はヌイトロから話を聞くふりをして、猫語で話しかけた
「ヌイトロ、その後どう?」
「大丈夫ぅ。あの後は来てないよ主ぃ。これからもおじいちゃん守るよぉ」
「うん、お願いね」
私は顔をあげてルグルグさんを見る
「昨夜は寝ていた所を襲われたんですね。どうやらこの子魔法が使えるみたいで、影魔法で縛ったと言っています」
「おお、それで奴ら、転がってたのか」
警備の人も納得と言った顔
「それでですね。私、特殊なスキルや魔法で犯人の痕跡を追えます。よかったら私に調べさせてもらえませんか?」
「それは願ったりかなったりです! ぜひお願いします!」
警備の人達も快くオッケーしてくれたので、私はこの事件解決のため本格的に動き出した