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街へ2

「ありがとう猫ちゃん!」

 いきなり女の子二人に抱きしめられた

 桃色のショートボブの髪に青い瞳の子と、金色のウェーブがかかった髪に青い目の子

 金髪の子めっちゃ力強いな

 普通の猫ならギニャーとか言って引っ掻いてたよこれ

 でも私は普通の猫じゃないから大丈夫

「まさか猫に助けられるとは・・・。それにしてもなぜ急にこんな小さな村を襲ったんだ帝国の奴らは」

 帝国?

 なんか不穏な感じだねぇ。こういうのってだいたい征服しに来た帝国がーとか、帝国による侵略が始まったーとかがテンプレ

 詳しい話は聞けなかったけど、まあこの村の人達が救われたならいいか

「猫ちゃん、うちに来るー?」

「あ、ずるいよメアリンド、その子は私が連れて帰るの!」

「待て待てお前たち、あの帝国騎士をあっさり退けるなんてその猫おかしいぞ。もしかしたら危険な魔物かもしれんから近づいてはならん」

 む、心外な

 まぁ魔物なのは間違いないけど

「大丈夫だよ、すごくおとなしいよ」

「なぁ、確かに騎士たちを退けた得体のしれない猫だけど、あいつらも傷ついたりはしてなかったぜ。大丈夫だろ。それにこの子達の命の恩人だし」

 金髪の子のお父さんらしき男性がそう言った

 お、これは早くも私の住処が見つかるっぽい

「ふーむ、まあ確かにそうだな。助けてくれた恩もあるし・・・。よし分かった。しっかり面倒を見るんだぞ二人共!」

「「うん!!」」

 こうして私は、金髪の少女に飼われることになった

 この子の名前はフィオナ・ビラ

 そしてもう一人の桃色の髪の子がメアリンド

 二人とも八歳で、この村唯一の子供らしい

 フィオナの父親は村長に私を飼っても大丈夫だと助言してくれた人で、ターナー・ビラって名前

 村長はコッセという男性で、村長と呼ばれてるけど結構若い。多分三十代前半

 心配性だけど私を見る目はまさしく猫好きの目だった

「それじゃあ、行こう猫ちゃん。そうだ、名前も付けなきゃ。どうするメアリー」

「うーんと、にゃん太郎!」

 おい何処からそんな和名出した。それと私は雌だよ

「なんか変ー。トムは?」

 ジェリー追っかけてそうね。そっちも雄の名前なんですが

「こらこらお前たち、この子はどうやら雌だぞ」

 やだ、見ないで恥ずかしい

「女の子だったんだー。じゃあじゃあ、ミャーミャー泣いてるからー、ミア!!」

 なんと、くしくも私が可愛がっていたあのハチワレの子と同じ名前

 それがいい! それにして!

「んなにゃん!」

「あ、この子もその名前がいいって言ってるよ」

 お、よくわかったねメアリーちゃん(どうやらメアリンドの愛称はメアリーらしいので私もそう呼ぶ)

「じゃあミア! これからよろしくねー」

 ふふふ、これで食と住は確保できた

 服はまあ、飼い主のフィオナちゃんの采配に任せましょう

 ご飯はお魚でお願いしまーっす

 自分でもちょっと図々しいとは思うけど、猫なんて図々しくてなんぼですから

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