鳥人族の国4
突如上がる悲鳴
何事かと思い駆け付けると、剣を持った男が女性を人質に叫んでいた
「ルグルグを出せ! あいつのせいで俺は!」
男の目は真っ赤に充血して、俗にいうきまってる状態
剣を滅茶苦茶に振り回してるから近寄りがたい
私は猫になってするっと男の後ろに回り込むと、そのまま人間形態になって男を殴って気絶させた
「お姉さん大丈夫?」
「ありがとうございます!」
男は店の前で騒いでいたんだけど、お姉さんはそのお店の店員さんみたい
店から主人らしき男性も出てきてお礼を言ってくれた
その後から警備兵らしき人達がたくさん来て男をひっとらえたんだけど
「あれ? 俺はいったい・・・」
なにやら視点も定まらず、記憶もあいまいな様子
よく見ないと分からなかったけど、男の頭にほんの微量の魔力の残り香のようなものが見えた
そして、男の持ち物にはあの、ローブがあった
怪しいと思った男はこいつで間違いない
まあ持ち物以前に監視してた分体猫がついてるんだけどね
「冒険者の方ですか? ご協力感謝します!」
警備兵のお兄さんにお礼を言われたあと、私は連行される男をジッと見つめる
でも何も情報は得られなかった
魔力ももう霧散して感じない
「ミアはすごいね。私勇者だったのにとっさに動けなかったよ」
「私がいなかったらきっとフィオナちゃんが止めてたよ。君はそういう子だからねぇ」
取りあえず問題は解決したけど、あの男には引き続き監視を付けておいて、もう一つの気になること、男が言っていたルグルグという人物が何者なのか
それを調べなくちゃね
この事件、何かあるよぜったい
猫としての感がうずいてるんだ
「ねね、お姉さん。ルグルグって誰?」
私はまだ横にいた襲われていたお姉さんに聞いてみた
「ルグルグさんはこの商業区を発展させた大商人です。今は確か隠居されて、居住区でゆったり暮らしていると思います」
「なるほど、ありがとうお姉さん」
「いえ、こちらこそ本当に助かりました」
私はもう一匹分体を作り出すと、その子を居住区へと放った
ちなみにこの街にもちゃんと猫がいるから、特に怪しまれることはないのです