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最後の戦い4

 今までとは違う

 クロの力が加わったことで私はついにフィオナちゃんの動きや力の流れを、視覚情報としてとらえることができるようになった

 見える

 フィオナちゃんの不思議な力は空間ごと切り取ってそこに自分の力を流し込み、移動や攻撃を行ってる

 いうなれば空間転移と魔法と格闘攻撃を同時にやって、さらにはそれをどれほど人がいても行えるってことが分かった

 ひとりで大勢と戦えるってことだ

(怖い? ミアちゃん)

「クロがいるから平気。それに、これならフィオナちゃんを助けれそうだよ」

 クロの力と私の力

 それを混ぜ合わせる

 白と黒、それは灰色に混ざり合い、境界線をあいまいにする

「全てを白く」

(すべてを黒く)

「(すべてを灰に)」

「境界破掌」

 私は思いっきり空間を殴った

 するとフィオナちゃんの力が乱れて、異空間にいた彼女はポーンとはじき出される

「な、え?」

 何が起こったのか分からないという表情で私達を見る

「そうだよ、同じような力だね。でもこれで同じ土俵に立てた。フィオナちゃん、必ず元に戻すよ」

 五分という制限付き

 残り時間はそう長くはない

 ここで一気に決める

「くっ」

 また異空間に逃げ込もうとするフィオナちゃんを追い、同じく異空間に入り込むと、彼女に追いついて思いっきり頬をひっぱたいた

「あぐっ」

 目から火花が散っているのか、パチパチと瞬きする

 それでもまだ目が覚めないならと、私は何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も・・・

 フィオナちゃんの頬を叩き続けた

 一撃一撃が多分人が粉みじんになるくらいの威力があるけど、今のフィオナちゃんなら問題ない

 これは気付けであり、愛ある説教の拳、いや、肉球

「目を、覚まして! フィオナちゃん!」

 フィオナちゃんはそれでも激しく抵抗してくる

 当然私もクロも魂が削れ、激しく消耗していく

 このままでは私とクロは核が壊れて消えちゃうだろう

 それでもお構いなしに私はフィオナちゃんに声をかけ続ける

「戻ってきて! また一緒に、ターナーさんのところに戻って、平和に暮らそうよ!」

 クロも私と一緒に死ぬ覚悟をしてくれている

 だんだんと、フィオナちゃんの攻撃の手数が少なくなっていく

「ミ、ア」

 いる! この奥底に、本来の、優しい勇者のフィオナちゃんが閉じ込められてるんだ!

「大丈夫、フィオナちゃんは戻れる! 強いんだから!」

「放せ! このクソ猫がっ! あ、うう、ミア、助けて、辛いよ、苦しいよ」

「もう少しだ! 頑張って!」

 私は精霊の力を使って、フィオナちゃんの魂へと潜り込んだ

 その時にはすでにクロとの融合が解けていて、私一人が潜り込む形になった

「フィオナちゃん! どこ!?」

 呼びかけてみると、真っ黒な靄の中から小さな光が見えて、そこから微かに声がした

「助け、て、ミ、ア」

「今助ける!」

 靄をかき分けて行く

 黒い靄は私劣り込もうとしているのか、ヌルヌルと絡みついてくる 

 それらを爪で切り裂きながら泳ぐようにしてフィオナちゃんの魂の核へと触れた

 すると、光が一基にあふれてきた

「ミア!」

 手を伸ばすフィオナちゃんの魂

 私は人型になってその手をしっかりと掴む

 フィオナちゃんからの愛が伝わり、私もまた彼女に愛を注ぐ

 これだ。間違いなく

 魔王から元に戻すには、今この時しかない!

 私はフィオナちゃんを引っ張り上げて、黒い靄から抜け出すと、その黒い靄だけを二人で狙い、愛の力で霧散させた

「ミア! ありがとう! ずっと心細かった。辛かった。さみしかった。でもミアが声をかけてくれてたおかげで私は自分を保っていられたの。ありがとうミア」

 フィオナちゃんは私を抱きしめる

「お帰り、フィオナちゃん」

 二人共光に包み込まれて、気が付くとフィオナちゃんの手を握って私は倒れていた

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