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最後の戦い1

 剣をこちらに向ける

 その剣も、聖剣だったはずが、真っ黒に染まっていた

「ラースラルガ」

 剣から何かが飛び出し、私に襲い掛かる

 まるで獣のような動きの黒いもの

 いや、獣そのものだこれは

 動きは私に似ていて、爪による鋭い攻撃が、嚙みつきによる重い攻撃が私の魂を削って行く

「く、うう、ね、猫猫大行進!」

 猫たちを呼びだして、黒い獣を押し返す

「ミアちゃん!」

 クロも来てくれたみたいで、私の傷を治してくれた

「あの子、君の友達っすよね? なんであんなことに」

「オワリに、乱されて、力に飲まれたみたいなの。クロ、なんとかならないかな?」

 クロは首を横に振る

「人から魔王になった話は意外と多いっす。でも、聞いたことないんすよ。戻ったって話は。あの子はもう完全に魔王になってしまってるっす。ああなればもはや、倒すしか」

「そんな!」

 なにか、何か方法はあるはずだ

 なにかが・・・

「残念さけど・・・。君ができないならうちがやるっす。英霊猫召喚、マタタビ大王!」

 ボフンと大きな猫が現れる

 英霊猫だ

「マタタビ大王はうちと契約した英霊猫の中で一番強いよ。彼ならきっと痛みもなく」

「それじゃだめ! 私が、私が絶対フィオナちゃんを元に戻すんだ!」

「ふむ、あれは魔王だな。我が討ち滅ぼしてくれよう」

「待って!」

 私は大王を止める

「どけ、小さき猫よ。魔王は倒さねばならん。民を守るが大王が務めである。あれが被害を出してからでは遅いのだ」

「あの子は、きっと元に戻して見せる! だからやめて!」

「元に戻すだと? 馬鹿なことを。今まで魔王から元に戻れたモノなどおらぬ。方法がない。分かったらそこをどけ!」

 大王が手を振り上げ、私を猫パンチの要領で吹っ飛ばした

「うぐううう!」

 でも私はその一撃を耐えきる

「ほお、死なないと見て本気で打ったが、抑えきるとはな」

 体がきしんで悲鳴を上げるけど

「肉球スタンプ」

 私は自分の体を治療して大王を思いっきり殴った

「ぐお」

 大王が膝をついて倒れる

「うわ、ミアちゃん強ぉ」

 驚くクロ

 大王も目を丸くしていた

「我を、殴り飛ばすとは・・・。お主まだ精霊になったばかりだったな?」

「だから何? 私はフィオナちゃんを止める。もう追ってこないで!」

「待て、一つあてがある。元に戻るかどうかは分からぬが」

「あて?」

「クロ、英霊猫召喚で大賢者ツメトギを呼び出してくれ」

「わかったっす」

 クロが呼び出したのは綺麗な、私と同じ白猫

「あら、私が呼ばれたということは、知識が必要なのかしら?」

 私が召喚した猫たちが未だフィオナちゃんを何とか抑えてくれている中、大賢者と手早く話をし始める

「なるほど、魔王から元に戻す、ね? 確かに未だかつてそう言った話はなかったわ。でも、一つだけ、これはおとぎ話に類する話。それでもたった一度だけ・・・」

 それは一度だけ出版された千年ほど前の絵本の話

 古代の魔王もとっくに滅んだ時代で、魔王は猛威を振るっていた

 おとぎ話では、普通の魔王と同じように世界を荒らしていた魔王は、元々人間の姫だった

 彼女は国が滅ぼされ、自身も汚されて処刑された

 その処刑される際、全ての憎しみや恨みを吐き、首を落とされると同時に周囲の魔素を喰らいつくして魔王になった

 彼女は怨嗟の魔王ニルヴェシア

 そしてその時の勇者は彼女の幼馴染で、滅んだ国の数少ない生き残りの一人である陽光の勇者ハレ

 当時国が亡ぶことなど珍しくなかった時代

 これがおとぎ話なのか本当の話なのかも分からないけど、結末としては、ハレの愛がニルヴェシアの心を癒し、無事人に戻った彼女は、勇者と幸せに暮らしましたとさって話

 あまり人気がなかったため、数ヵ月で廃刊となったけど、本を読み漁っていたツメトギはその内容をしっかりと覚えていた

「絵本でしたが、あれは本当に合った話、だと記憶しています。確かに、倒されたという話でしたが、勇者ハレは確かに存在していた勇者ですし、魔王ニルヴェシアも存在していました。脚色ではなく、本当の話なのだとしたら・・・。可能性はあるはずです」

 私はその話に希望を見出した

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