魔王の誕生2
サミダレ国につくとすぐに侍女の皆さんが迎えに来てくれた
まずはアラマキさんの訃報を伝えないと
「トガツメヒメ様、バララスラの勇者一行が到着しました」
「うむ、通せ」
トガツメヒメは相変わらずのよう
「実は、その」
「ふむ、アラマキのことであろう? すでに分かっておる。じゃがお主たちの心配は不要じゃ」
「でも、娘さん、なんでしょう?」
「ああそうじゃ、大切なな。じゃからそういうことがないよう、わらわはとある方法で子供達が消滅しないように対策をしてある」
「へ? 対策?」
「ああそうじゃ。ほれ」
トガツメヒメさんは白いオーブのようなものを胸元から取り出す
それに魔力を込めると、オーブが光って人型になった
「むあっと! なななな、おわわわわ」
小さな人影は、どこからどう見ても小さなころのアラマキさんだった
「ぬあー、母上ー」
トテトテと駆け寄ってトガツメヒメさんに抱き着くチビアラマキちゃん
「よしよし」
「あー、猫ちゃん。えーっと、ミア! それに、フィオナちゃんと、タルニャちゃん! メアリーちゃんにエルヴィスくん!」
どうやら記憶もしっかり残ってるみたい、なんだけど、言葉遣いがたどたどしい
元々こういう感じだったのか
「これこの通り、また成長するのに時間はかかるが、アラマキは無事じゃ」
「あい! せつは大丈夫なのでごじゃる!」
か、可愛い
おっと、今はアラマキちゃんではなくて、フィオナちゃんのことを聞かないと
「それで」
「分かっておるぞ、わらわは見通すからの。フィオナならあの子の故郷におる」
「故郷、バララスラですね?」
「いいや違う亡国、セリュシオン真王国じゃ」
トガツメヒメさんは空中に呪力で地図を作り出す
その場所は帝国から少し離れた森林豊かな場所
「フィオナは元々この国の姫じゃろ? まだ生まれて間もないころにバララスラに逃れた。それ故に記憶はないじゃろうが、元々そこの勇者になる予定だったのじゃから、そこに戻るのは必然かもしれん。それに、両親の亡骸もそこに弔われておるのだからな」
確かに、フィオナちゃんがもともと姫だって話は、ターナーさんから聞いていた
トガツメヒメ様の情報は正確
フィオナちゃんは必ずセリュシオンにいるはずだ
私達はセリュシオンを目指し、出立した