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決戦32

「タ、タルニャまで・・・」

 フィオナちゃんの表情が変わる

「だめだよフィオナちゃん、それは、ダメだ」

 彼女の愛の力は実をいうとかなり危うい力でもある

 愛の裏は憎しみ

 容易に危険な力へとなりうるからだ

「う、ふぅ、だってミア、あいつは、私の大事な、お友達を!」

「フィオナちゃん抑えて!」

 フィオナちゃんは優しくて愛情深い

 それだけに、その愛が憎しみに変わると

「あ、ぐうう、うぐううううああああああ!! 許さない! 許さない!!」

 フィオナちゃんの力が、変わった

 まるでオワリの力のように黒い靄がフィオナちゃんを包み込む

「はは、はははは! こいつ自ら! これは飛んだお笑い草だ!」

 オワリは大笑いし、フィオナに近づく

「もう、終わりだなこの世界は。唯一私にダメージを与えられていたこいつが、私と同じようなモノになったんだからな」

「そんなわけない! フィオナちゃんは優しくて、愛にあふれた子だ! お前みたいなやつにはならない!」

 靄から出てきたのは、大人になったフィオナちゃんだけど、その目は怒りと憎しみに満ちていた

「殺す」

 ただそう一言言うと、オワリのお腹を腕で刺し貫いた

 ハッ、勇者装備がない!

 地面に脱げ落ちている勇者装備

 今のフィオナちゃんは自身の力で装備を作り出して纏ってるんだ

「アハハハハ! 良い憎しみ! それよそれだよ! 気持ちいい、心地いい!」

 オワリの笑い声が響き、かなりの範囲が地震のように揺れる

「ああ、いいわ、お前、私のパートナーになりなさいよ。一緒に、全部終わらせちゃおうよ」

「殺す」

 グチャっと音がする

 オワリを見ると彼女の顎が下半分千切り取られていた

「ぐちゅ、うぐちゅ、さ、いいごおお、最高よ!」

 すぐ再生する顎

 フィオナちゃんは何度も何度も、普通なら一撃で死に至るであろう攻撃をオワリに与え続ける

 とてもじゃないけどその間に入って行けない

「フィオナちゃん正気に戻って!」

 私の声も届かないほどにフィオナちゃんは力に飲まれていた

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