決戦17
「くふっ、げは!」
口からゴパッと血を吐き出しているシロガネ
このままでは確実に死ぬ
「改心した者を狙うとは、しかも戦えない者を・・・。拙は怒ったでござる」
アラマキは再び見えなくなった相手をわずかな空気の揺れだけで探った
「そこ!」
刀をふるとズバッと何かが斬れる音がして血が滴り落ちる
「伏せるでござる! 次元一閃!」
横に刀を薙ぐ
半径十メートルにも及ぶ斬撃のため、仲間に伏せさせておいたのだ
ザシュッと音がすると再び空間から血が噴き出した
だがオヌは姿を現さない
「浅かったでござるか」
だが血が滴っていることで位置は丸わかりになっている
「無次元裂き!」
その血が滴っている場所を切り裂くが、手ごたえはなかった
「ぐあ!」
後ろから聞こえるビイの悲鳴
ビイは背中を切り裂かれて倒れていた
「この! 頭が回る!」
どうやら透明にした武具を置いてそこに自らの血をかけて騙したようだ
どうやら出血は止まったようで、位置が掴みにくくなった
「これは負担がかかるから今使うのはためらわれるでござるが・・・。背に腹は代えられないでござる!」
アラマキは右目に指をあてると次元の能力を目に発動させた
見えないモノを見えるようになるアラマキ
もはやオヌの位置は手に取るように分かった
だがその代償もあり、アラマキの右目からは血が流れていた
「見つけたでござるよ!」
シロガネにとどめを刺そうとしているところを間一髪で刀で切り刻み、オヌを討つことができた
「あ、う、ア、ラマ、キ・・・。俺」
「しゃべるなでござる」
回復手段がない
シロガネの命がつきようとしている中、突然真っ白なローブを着た女性が現れた
「私が治します」
「あ、あなたは?」
「お待たせいたしました勇者の皆さん。異世界人同盟到着です」
女性の名はハルモニア・シャルフル
死んでさえいなければどんな傷もたちどころに治してしまう異世界人だった