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猫の力19

 馬車が出発してから一時間ほど経った頃、馬車が急に止まった

「ターナーさん、来てくれ!」

 騎士に呼ばれたターナーさんが馬車から降りる

 私も行こうとしたけどメアリーに抱っこされてたから行けなかった

 メアリーはスキンシップが激しくて、ずっと私を吸っているのよねぇ

 まあちび猫ちゃんは常時ついてるから大丈夫

「どうした?」

「あれを見てくれ。あの魔物、なんだと思う?」

 騎士のおじさんが指さす方向には・・・。なにあれ?

 えーっと、何かで見た、あんな感じの何か

 そうだ、前世のテレビだ!

 あれはテレビのUMA特集オカルト番組で見たやつ! フライングヒューマノイド!!

「見たことのない魔物だな。人型か・・・。亜人の魔法使いということはないか?」

「分からない。だが明らかにこっちに敵意を持って向かってきてるぞ」

 ちび猫ちゃんの目を通してでも分かる

 あれはこっちを殺そうとしてる

「おい、全員さがれ! 今すぐにだ!!」

 ターナーさんが叫ぶ

 騎士たちも構えたけど、そのフライングヒューマノイドはズドンと地面に着地して、周囲が揺れた

「うわあああ!!」

 騎士たちが吹き飛ぶ 

 幸い威力をターナーさんの魔剣ラプネスが喰らったため、軽いけがですんだみたいだけど、フライングヒューマノイドの顔を見て私は恐怖に震えた

 魔物じゃ、ない?

 これは、人間?

 顔はつぎはぎだらけで、目に光はない

 ゾンビやフランケンシュタインの怪物みたいだけど、肌には生気がある

 そいつは目をグルグルと動かしてカチカチ歯を鳴らしながらギロリとターナーさんをにらんだ

「おいおいおい、聞いてないぞ。こんなのがいるなんて」

「わ、我々も知りません・・・」

 その化け物は来ていたローブを脱ぎ去る

 出てきたのはつぎはぎだらけの体で、腕が通常の人間の二倍はある

「ターゲット、ター、ゲット」

 しゃ、しゃべった!

 グルンと首を回し、そいつは腕を伸ばしてターナーさんを攻撃してきた

 とっさに飛びのくターナーさん

 腕は空を掴み、化け物は地面に手を突いた

 すると地面の一部がボコっとえぐれて消える

「何だこの力は・・・。魔法、じゃないな。魔力を感じない。スキルか?」

「タタタタタタターナーアアアア。こここここころっろっす」

 かなり怖い

 まるでホラーゲームのキャラクターのようなその化け物は執拗にターナーさんを襲う

 手による攻撃は範囲が広いけど大振りで動きも遅い

 そのためかラプネスでその得体のしれない攻撃の余波を喰らいながらうまく立ち回れてる

 でも次の瞬間予想外のことが起きた

 避けた腕の後ろからいきなり別の腕が伸びてきてターナーさんのお腹に当たった

「かふっ」

 お腹の半分がえぐれて血が吹き出る

 私はいてもたってもいられなくなってメアリーの腕から抜け出すと、馬車の窓から飛び出して走り出した

「ミア!!」

 フィオナちゃんの声を後ろで聞きながら走る

 ターナーさんの元へたどり着くと肉球でターナーさんを触って回復させた

「ミ、ミア」

「んな!」

 フシャアアアア!!

 私は低く唸ってそいつを威嚇した

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