猫の力18
「でたなフロストドラゴン! いざ!」
「まてまて、いざじゃないでしょう」
え? 喋るドラゴン!?
喋るってことはAランク以上のドラゴンじゃない!
危ない逃げてスヴィラナさん!
「あなんだ、君か」
「君かじゃないって。私の縄張りで何してるんですかあなた」
「ちょっと帝国の偵察にね」
「ああ、そういえば最近きな臭いわね」
「レイちゃん何か知ってる?」
「さぁ? 人間のことに興味ないし・・・。勇者だって、もういないんだし・・・。あ、だめ、だんだん腹が立って来たわ。あいつを殺した帝国、滅ぼすんだったら手伝うわよ?」
「そんな物騒な話じゃ・・・。いずれ戦いが起きるかも。その時は力を貸して」
「ええ。あいつの敵は私の敵。一緒に戦うわ」
どうやらこのドラゴンさん、勇者の仲間だったみたい
詳しいことは分からないけど、勇者のことを信頼してる感じがする
ともかくスヴィラナさんは大丈夫そうだった
「ではまた」
「ええ、また会いましょう」
フロストドラゴンさんは手を振り、スヴィラナさんはまた走り出した
数時間後、たどり着いたのは閑散とした村
村に人気はないから廃村だと思う
「・・・・」
何か思うところがあるのか、スヴィラナさんは村を見て悲しそうな顔をしている
「はぁ」
ため息をついてその村に入る
「昔は、豊かな村だったのに」
ん? スヴィラナさんはここに人がいた頃を知ってるんだ
「やっぱり誰もいないよね。帝国がおかしくなってからあちこちでこんな村や町が増えてる。早く何とかしないと」
ん? どういうことだろう?
帝国がおかしくなった? 私何も知らない
これはちゃんと調べないとね
ひとまずスヴィラナさんのことは置いておいて、私は再びフィオナちゃんの横で眠りについた
翌朝、フィオナちゃんが私を抱き上げたことで目が覚めた
「おはようミア」
「んなぁん」
少し寝ぼけ眼で答え、朝ごはんをもらう
おお、これはまた美味しそうなお魚だ
夢中でかぶりついて食べる
丁寧に骨が取ってあったから食べやすーい
さてこれからまた次の街へ行くために馬車に乗るわけだけど、次がいよいよ王都
そこから移住する村に移る
すでに建物は綺麗にされているらしいから、あとは荷物を入れるだけみたいね
「さて、馬車に乗るぞ」
アルト村住人たちが馬車に乗り込むと、ゆっくりと馬車は走り出した
王都かぁ、副都よりも大きいらしいし、お城もあるみたいだから楽しみ!