猫の力17
壊れた壁はすぐに修復するためにたくさんの大工っぽい人たちと、結界を張るための魔法使いが集まって工事が始まってた
魔法で資材を運んで積んで、強化魔法でくみ上げた部分を強化していく
もう危険はなくなったから私はその壁の修復を眺めに来ていた
あ、工事関係者にドワーフがいる
ちらほらと亜人の人達はいるもんだねぇ
まあでもまだ少ないね
別にこの国では差別があるわけじゃなくて、人間が多い地方ってだけなのよね
「お、ミア、お前も来てたのか」
「んなん!」
ターナーさんが壁の様子を見に来た
さっきの戦い本当にすごかったなぁ
近くのベンチに腰掛けたターナーさんの膝上に私は飛び乗った
ガッチガチの筋肉だ
「ハハ、フィオナと違って座り心地は最悪だろ」
そんなことないけどなぁ
これはこれで好き
私はそのままウトウトと眠りについてしまった
気が付くと夜
すでに宿に連れ帰られてて、フィオナちゃんも横で寝てた
そうだ、スヴィラナさんの様子を見ないと
ちび猫ちゃんツーの目を通してスヴィラナさんを見た
「くかああああ!! ぐおおおおお!! んがががが、ギリギリギリギリ」
うっわ、すっごい寝相にいびきに歯ぎしり
涎もたらして・・・
ちび猫ちゃんツーに回りの様子を見てきてもらう
どうやら簡易テントに寝てるみたいで、周りは山の中だった
いかにも魔物が来そうな森の中なのに、魔物避けもしないで大丈夫なのかな?
と思ったけど、周りにたくさんの魔物の死体が転がってる
テントを中心に大量に・・・
これだけ魔物の死体が転がってれば、近寄ろうとは思わないか
この山脈が超えれない理由に山が険しいってとこもあるけど、何より魔物が強い
Bランクが大量に出る他に、Aランクもちらほら
ドラゴンなんかもいるから命がいくつあっても足りない
それをこの人はなんの苦も無く倒してる感じがする
だってこの人、傷一つついてないんだもん
そして翌朝、むくりと起きあがって伸びをするスヴィラナさん
ちょ、胸がこぼれてる。あまりにも無防備すぎるよ
「おっと、しまいしまい」
胸をシャツにしまうと、服を着てから外に出る
そしてテントの横にあるボタンを押すと、テントはシュルシュルとたたまれ、コンパクトになった
「よしっと、あとちょっとで帝国だから急ぐかな」
またしゃがみ込むと、足がパンパンに膨れ上がり、地面にめり込むほど足で踏み込んで走り出した
最初っからトップスピードなのか、景色が線のように流れていく
そして彼女は突然急ブレーキをかけて止まった
これ、ヤバいかも
前にいたのは竜、ドラゴン・・・
しかもかなり大きなドラゴンだった