タルニャ7
しかしその口を不可視の手で難なく抑える
「わたくしに、ここまでの力が」
見事に押し返し、龍を抑え込む
だが龍の力が増してきた
抑えた口を開き、超高熱の炎を吐き出し応戦する龍
「く、熱い」
炎に飲まれないように剥がれるタルニャ
どうやら手を操れる範囲を外れたようで、龍の拘束が解かれる
そして間髪入れず尻尾を振り、タルニャに鞭のように撃ち込んだ
ドギャァと大きな音がしたが、盾によって弾く
今までのタルニャならば盾ごと潰されていただろうが、不可視の手で抑えたため無傷でしのいだ
「クリアブレッド!」
不可視の手で龍の右頬を殴り上げて吹っ飛ばす
龍は壁にたたきつけられたが、すぐに復帰して再び口を開くと、今度は超音波のようなもので攻撃された
これは流石に防ぐ手立てがなく、鼓膜が弾けて耳から血が流れる
「う、頭が」
衝撃のせいでめまいがする
タルニャが膝をついた瞬間を狙って龍の尻尾が再び襲ってきた
それを受け止めるが、三半規管までいかれたからなのか、バランスが取れずにそのまま押しつぶされてしまった
「ぷぎゅ」
メキメキと大きな胸のあたりから骨にひびが入る音がする
「あぐっ、ううう」
そして龍は尻尾を振り上げると、たたきつけるようにしてタルニャに振り下ろした
「ぎゅがっ」
ぶちゅっと言う音が響き、タルニャの顔が潰れ、可愛い顔が凹む
鼻が折れ、血が噴き出す
「ぐ、ぐあ」
だがタルニャは根性で立ち上がると、目をぎらつかせる
「そうでずわ、わだぐじは、死線をぐぐっでいない!」
鼻から流れる血を拭き取ると、不可視の手を、いや、彼女はイメージを変えていた
「手が再現できるのなら、他のものも!」
そして不可視だったその力は目に見える形で現れる
「ファンタズムソード!」
ついに開花するタルニャ自身の力
それは空想を現実にする
幼い頃より勇者の物語を読み続け、その想像力や妄想力、空想にも磨きがかかっていたタルニャにぴったりの力だった