猫精霊の国2
ふらふらと歩きながら、猫精霊や猫たちを見回す
「あの方が、救世猫様?」
「救世猫様だ! クロが連れてきてくれたんだ!」
「きゃあああ! 救世猫様こっち見てぇええ!」
ずいぶんと人気な私
照れくさいけど、ここには遊びに来たわけじゃない
仙猫から猫精霊への進化の兆しを掴むために来たんだ
「こっちっすよミアちゃん」
クロが案内してくれたのは国の入り口すぐにある温泉施設だった
「はぁはぁ、さ、さあミアちゃん、ここで裸の付き合いをするっすよ」
「いや元々裸なんだけど。ていうかクロ気持ち悪いよ」
「う、ショックっす」
冗談だっていうのは分かってるけど、さすがにウヒウヒ笑いながら目を血走らせてるとね・・・
本当に冗談なのかな?
本気な気もしてきた
「ごほん、気を取り直してっすね。この温泉は精霊のアストラルボディに必要な魔力や力が宿ってるんす」
「アストラルボディ?」
「そうっす。うちら精霊は肉体を持たないっす。それ故に魔力さえ周囲にあれば、このアストラルボディを消されない限り死ぬことはないっすよ」
「不老不死ってこと?」
「ある意味ではそうっすね」
不老不死・・・
「やっぱり永遠に生きるって怖いっすよね? じっくり考えるといいっす」
「ううん、もう答えは決まってるから大丈夫」
「そっすか! じゃあ温泉に入ってくるといいっす」
「うん」
私は駆け足で温泉施設の暖簾をくぐった
硫黄の匂いと、もくもく上がる湯気
温泉なんて前世以来、というか前世でも数回しか行ったことない
どうやら最初に魔法による洗浄があるみたいで、その洞窟のような場所をくぐると、体が自動的にきれいになっていった
「気持ちいい」
そしておくにある温泉
そこにはたくさんの猫精霊達が思い思いに湯船を楽しんでいる姿があった