王の力
様々な場所で自信の分身を暗躍させている
彼女の後ろには配下の魔神となった瘴気の魔神フロウと、超巨大の魔神ドグラルマ、そして妖怪族の国で復活させ、魔神化させた妖の魔王マアハ
この三柱は特に魔神としての気質が強く、彼女も気に入っていた
「さて、手数は揃ったわね。本体が顕現するのももう少し。今は手ごまを減らしてでも力を蓄えるとき、かしら。どう思う? マアハ」
「しかり、しかり、主の思うまま、動かれるがよろしいかと」
フロウとドグラルマの目に意志は宿っていない
二人共心を破壊され、今では彼女の従順な操り人形
しかしながらマアハの意識ははっきりとしていた
マアハの特性はただただ殺したい
殺して、殺して、殺して
何も残らなくなったら再び育んて殺したい
何かを殺さなければ自分の価値を見出せない
そこを彼女に見いだされ、最も近しい側近となった
殺せれればそれでいい。誰の下にもつこう
マアハはいま、至高の幸せの中にいた
「主、愛しい主様、あなたのみ心のままに、全てはあなたの手の中に」
「フフフ、マアハ、君は本当にいい手ごまだ」
手ごまと言われ震えるマアハ
喜びに打ち震えているのだ
絶頂するかのような恍惚の表情を浮かべ、マアハは彼女の手の甲にキスをする
雨が降り続ける国、レナナン
水を貴ぶ種族、ウォロマンが住む国で黒い少女の影が動いていた
体の約90パーセントが水で出来た種族であるウォロマン達は、彼女を見て驚いていた
一見すると人間族にしか見えないが、その魔力や、流れる力は異常だった
「何なんだ君は、そこから離れなさい。そこはかつてのウォロマンの勇者、ラオン様が眠る石碑だ」
「そう、ここにね、眠っているの。雨穿ちの魔王ファオロンが」
危険を感じ、ウォロマンの青年は少女をとっさに攻撃していた
だがその攻撃は空を切り、逆に自分が真っ二つになっていた
幸いにもウォロマンはその程度では死なない
すぐに再生するが、目の前ではすでに魔王復活が行われていた
「な、やめろ!!」
石碑が砕け、そこから魔王の魔力が吹きあがる
「おはよう、雨穿ちの魔王ファオロン、そして、誕生おめでとう、魔神ファオロン」
復活したのはもう魔王ではない
魔神となり、少女の忠実なコマとなった者だった