魔王の王43
女性型の体からバキバキと変化して、巨木になって行く
「ただの木に、なった? いや、これすごい魔力が」
そして大きな木にひびが入ってバギャンと壊れると、そこから人?人間と変わらない姿の女性が出てきた
「魔王って進化したら何になるのかな?」
そんな間の抜けたセリフを吐きながら、目の前のとんでもない力を持った何かを見つめる
「ふふ、ああ、いい気分いい気持ち。エサがたくさんたくさん。力も溢れて来るし、ねぇ勇者たち、おとなしく私の養分になるなら、即死させてあげる」
「誰が!」
アラマキさんが刀を抜いた瞬間鋭い木の槍がその手の平を貫いた
「ぐあっ!」
アラマキさんの手のひらから魔力が吸われてる
「まずい!」
私は刺さった木の槍を切り裂く
「く、ありがとうミア殿」
「油断しないで。あいつ、魔王なんかよりもはるかに強い」
禍々しい魔力は今も膨らみ続けてる
「さぁ、その勇者たちを喰らってしまいなさい。魔神アルセナ」
食木の魔王アルセナは、魔神と呼ばれた
声しかしないけど、あの黒いやつで間違いない
「魔神・・・。いいわねそれ。この世界の全てを私の養分にしてあげる」
アルセナは手をバッと開くと、体から触手のような木が地面に刺さる
これ、もしかして
魔力を流れを見ると思った通りだった
「こ、こいつ、龍脈から魔力を吸い上げてる!」
龍脈って分かりやすく言ったけど、要は魔力が大量に流れている場所
そこから養分として魔力を吸い上げてるんだ
このままだとこの星が魔力が尽きるまで吸い上げて、手に負えなくなる
「仙術、圧掌!」
肉球パンチの要領で掌手を押し付ける
仙力と気力で練り上げられた力の塊である肉球でアルセナは圧迫される
「フフ、フフフフ、なにそれ? じゃれてるの猫ちゃん?」
私の全力の一撃だったのに、アルセナは何食わぬ顔で立ってた
彼女の周囲は圧縮されてえぐれてるっていうのに
「これは、まいった、かも」
次なる一手を思いつかないままでいると、アラマキさんとフィオナちゃん、そしてドラスルさんが一斉にかかっていった
「セイヴァーアスタロト!」
「亜空断絶!」
「雹炎、フーガ!!」
三人の力が合わさるようにしてアルセナの胸に力がめり込む
でも、それは霧散して消えた
「マッサージにもならないじゃない」
だ、だめだ、これ、なんで、ヤバイ、ヤバすぎる
ポイゾナのときよりも絶望的な力の差
私の心は折れかけてた