魔王の王39
「グランドウィッシュ! タイタンロボ!」
うわ、これか、これがマリオンちゃんの新しい力、ロボットに変身する能力か
かっこいい
「さ、乗って!」
マリオンちゃん自体がロボットになってるのかな
腹部が開いて中に入れるようになってる
「すごーい」
「ぽぇ~、もはや何が何だか分からんでござるが、大切な人がピンチ何でござるな? 拙がその敵をぼっこぼこのぼこにしてやりましょう!」
「いや敵はいないからおとなしくしててね」
「しょぼん」
アラマキさんを落ち着かせて一斉に乗り込むと、ハッチが閉まってゴゴゴゴと動き出して、空に飛びあがった
そして、音速を超える速度で一気に機械都市へと飛んだ
機械都市に戻って来た私達はすぐにマキナさんの元へ
「マキナ様、連れてきました!」
マキナさんの横には今にも砂となって消えそうになっている針の魔王キヌイが寝ていた
「もう、長くはなさそうです。せめて看取ることしか・・・」
「いいのじゃ、ほんのひと時じゃったが、少しは役に立てたかの?」
すでに足から下が砂になっている
キヌイは元々絹糸を紡ぐ聖獣だった
蜘蛛の聖獣
それが本来の彼女
遥かな昔に忘れ去られ、それにより魔に取り憑かれてしまった
聖獣だったころは絹糸を紡ぎ、人々と共に生きていたのだが、魔獣となり、魔王となり果ててからは人を襲うようになっていた
復活した彼女はかつて聖獣だったことを思い出したのだろう
消えゆく彼女
原因は不明だが、マキナやマリオンは彼女に感謝の言葉を紡ぐ
「少しの間でしたけど、あなたから教わった戦い方は、私の力になりました」
「あなたとの会話は楽しかった。ありがとうキヌイ」
「ああ、わらわのその名は、かつて私の、親友だった人間につけてもらったもの、だったのじゃ。思い出した。勇者によって滅んだ時、人のすばらしさを知ったと思ったんじゃが、違っておったんじゃな。わらわは、元々人を知っておった。思い出しただけだったんじゃな。ああ、ああ、思い出すは昔の、ことと、お主たちと過ごした、この数ヵ月のこと、楽しかった。ありがとう」
キヌイはニコリと微笑んで、砂となって消えた
「う、うう、うわーーーん」
マリオンちゃんはかなり懐いていたみたいで、わんわん泣いていた
それにしても、なんで急に?
「っち、洗脳できなかったやつはいらないってのに、なに人間の味方なんかしてるんだよ」
突如聞こえる声
「まあいい、もっといいのがいっぱいいるし、そいつはどうでもよかったけど、邪魔になるのも癪だし」
「だ、誰!?」
それっきり声はしなくなったけど、私の眼には道しるべがピンと伸びて見えていた
何かが私達の後ろにいて、そこに道しるべが繋がっていたのを