魔王の王33
アルバノ共和国に入るともうそこら中にある果物に目が釘付けになった
桃やオレンジやリンゴや見たことのないものまでより取り見取り
それらを買いあさって食べているとエルヴィスが面白い情報を仕入れてきた
この街のすぐ隣にある超巨大果汁園に変な魔物が出るって話
特に襲ってくることもないんだけど、突然木の間から顔をのぞかせるため驚く果汁園スタッフが続出しているらしい
顔がともかく怖いらしく、まるで幽霊のようなんだとか
ただ本当に見つめてるだけなので驚く以外に実害がないんだって
「正体、知りたいよね」
「そ、そんな怖い所、行きたくありませんわ」
「拙も呪霊何でござるが、そこは平気なのでござるか?」
「アラマキさん呪霊だったの? 見えない」
「うむ、まぁ拙の場合は生まれてからずっと呪霊何でござるが、知らなかったのでござるか? サミダレの呪霊は子供も普通に作れるのでござる」
もうそれ人間じゃんと思ったけど、そういえばサミダレの呪霊や幽霊たちは新しい種族、アンデッド族とも言われてるらしいから、そりゃ子供くらい作れるのかな?
「ともかく行ってみましょう。困ってる人がいるなら解決しなきゃ」
果汁園へ向かうのは私、フィオナちゃん、アラマキさんで、残りの三人は魔王復活に関わっているなにかの情報を集めてもらうことにした
ともかくタルニャが怖がってるからね
「果汁園はあっちみたい。てかフルーツの香りがすごすぎて鼻が変になりそう」
私は鼻を肉球でクニクニと触る
ここに来てから鼻にフルーツの匂いがこびりついて取れない感じ
猫である弊害かなこれは
でも臭い臭いじゃなくてよかったよ
果汁園は観光地の一つで、ここでは一定のお金を払うと取って食べ放題ってシステムになってる
私達は料金所でお金を払って入った
ついでに料金所のおじさんに話を聞いてみた
「ああ、マスクのことか。俺は見たことないんだがな、俺の息子が見たから話を聞くといい。おいマドロ!」
「何だい父さん」
「この人たちがマスクについて聞きたいらしんだ。話してあげなさい」
「おっけー。丁度一か月前かな? 俺が果汁園の見回りをしてたら突然木の後ろから顔が出たんだ。マスクって名前の通り仮面をかぶった人みたいな見た目なんだけど、その面がコロコロ切り替わるんだ。君が悪くて落ちてた石を投げたら消えた。魔物、だとは思うんだけど、よくわかんないな。あんなの見たことないし」
これはがぜん興味が湧いてくる
この世界のオカルト話?みたいなもんだからね