表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/488

猫の力13

 街の名前はラダート

 副都ほどじゃないけど結構大きな街

 周囲を高い壁に囲まれてて、よほど強い魔物じゃない限りは入れない

 空を飛ぶ魔物に対しては結界が張ってあるから通れない仕様

「すまないフィオナ、俺はこの街で少しやることがあるから、またメアリーたちと一緒にいてくれ」

「うん、大丈夫だよお父さん」

 フィオナちゃんはいい子だなあ

 でも寂しそう・・・

 よし、この街では私がずっと一緒にいようっと


 宿屋、というよりまたホテルみたいなとこに泊まることになった

 豪華絢爛とまではいかないけど、そこそこいいホテル。朝はビュッフェスタイル。なわけないか

 ビュッフェスタイルを朝食に出すなんて地球での話だろうし

 そもそもこの世界にビュッフェがあるかも分かんないし、まず私は猫だからそういったところに行かない

 そんなことはさておき、宿屋でくつろぎ始める私とフィオナちゃん

 ここ猫オッケーなんだね。ていうか前の宿屋もその前も、私は当たり前には入れてた

 どうやらこの世界にはテイマーという職業があるみたいで、テイムした魔物や動物と一緒に泊まる冒険者が多いから、私がいても嫌がられないみたい

「お父さん何しに行ったんだろうね? またお友達に会いに行ったのかな?」

「んなん?」

 私もわからないと首をかしげるしぐさをしたけど、ちび猫ちゃんの目を通してターナーさんの行動は分かってる

 ターナーさんは街にあるギルドに向かってる

 冒険者ギルド

 ギルドでテストを受けて、合格すれば晴れて冒険者だね

 ターナーさんも一応冒険者の資格はもっていて、なんとSランクです

 まあ勇者と一緒に魔王を倒すような人なんだから当然か

 あ、やっぱり誰かと会ってる

「久しぶりだねターナー君」

「元気だったかスヴィラナ」

 ん? え? あの耳、あの尻尾

 まさか、まさか、まさかもう見れるの!?

 兎耳に兎の尻尾

 間違いない、獣人だ

 いるのは分かっていたけど、この国にはあまりいないって話だったから、こんなにすぐに見れちゃうとは思わなかったよ

 猫獣人じゃなかったけど、獣人がこうして動いて話してる。それだけでぼかぁ幸せなんだ

 そしてこの兎お姉さん、胸おっきい!

 前世の私も大きい方だったけど、彼女私の倍くらいある!

「まさか君から呼び出されるとはねぇ。腕が治ったって聞いたけど、本当だったんだねぇ」

「ああ、うちに幸運を呼び寄せる猫が来てくれたからな」

「猫?」

「ああいやこっちの話だ」

「で? この僕に何の話?」

「帝国が動き出してるのは知っているか?」

「えー初耳ー」

「お前・・・。たまには世間に目を向けろって。ほとんど隠匿賢者じゃないか」

「そんな、照れるねぇ」

「はぁ・・・・。まあいい、それで問題ってのは、帝国がなぜか勇者であるフィオナの存在を知っていたこと、殺しに来ていることだ」

「なんですと!? そんな馬鹿な、情報が洩れるはずがない。だってあのとき」

「ああ、国が滅んだ時、勇者の血筋は耐えたと世界には知られたはずだ。次の勇者はまた神に選ばれた者がなると。絶対に知られるはずはないんだ。あの時あの場にいたもの以外には・・・。国を滅ぼした帝国軍はあいつが死を賭して全滅させた・・・。生き残りがいたのか?」

「やっぱりね、君は疑わない、仲間を。まああいつらがそんなことするなんて思わないけどさ」

「ともかくフィオナの情報がどこから漏れたか、お前に調べてもらいたい」

「おっけー」

「なんだ、渋るかと思ったが二つ返事とはお前らしくもない」

「・・・。勇者の娘だよ?あいつの娘なら、僕らみんなの娘だよ。娘がピンチなら母は何としても守るのさ!」

「ありがとうスヴィラナ」

「まっかせなさい!」

 あのスヴィラナさんって人も昔の仲間なのかな?

 ちび猫ちゃんからじゃうまく鑑定できないけど、ちらっと見ただけでかなり強そうだった

 シーフ系のスキルと格闘術系スキル

 近接戦闘型プラス隠密型?

 よし、この人にも別のちび猫ちゃんを付けておこう

 そうやってちび猫ちゃんの情報に集中していると、突然フィオナちゃんがギューッと抱きしめてきた

「ギュニャン!」

「あ、ご、ごめんねミア」

 苦しかった。でも嫌じゃないよ

 フィオナちゃんは私を抱っこしたまま、メアリーのいる部屋へ向かった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ