勇者26
「怖い―、もうお家帰るー」
「あ、そすか・・・。いやまあいいんですけどね。お嬢は強くなりたかったんじゃないんすか?」
「私まだ、ぜんぜん強くない。ミュミュ、私にたくさん魔法を教えて」
「おお、その気になってくれたすか! もちろんすよ! じゃあ一緒に帰りましょか」
「うん!」
初めての街で怖い思いをしたのだが、彼女の心は前向きだ
次はもっと強くなってからこの街に来ようと思っているティティだった
国に戻ると女王はティティを思いっきり抱きしめた
「この子はもう! ほんとに! 心配させて!」
「ごめんなさーいお母様」
「ありがとうミュミュ。さすがミュミュ姉ちゃんね」
「その呼び方やめてす。あんたもう女王なんすからね。部下の私をちゃんと使ってなんぼなんすよ」
「はーい」
そしてその日からミュミュとジュジュの稽古の元、ティティの猛勉強が始まった
初めて行った場所で自分の弱さを知った
あの程度の男ならばティティが本来の力を発揮できれば簡単に倒せていただろう
今までサボっていた分、彼女の目はやる気に満ちていた
「お母様、ミュミュ、お願いします」
「うす、まず私からす。私の得意とする魔法は身体強化す。まー私はそれ以外からきしだからそれしか教えれないんすけどね」
ミュミュの魔法は体力や防御力、攻撃力をあげたり、回復力をあげたりできる
「まず魔力を体にちゃんと流してみるす。それはできるすよね?」
「うん」
ティティが自分の魔力を見つめなおす
「ひゃぁ!」
「やっぱりね。ティティ、あなた魔力が高すぎるのね。時々その魔力に飲まれそうになってる。だから怖くて真面目に魔法を学ばなかったのね?」
「う、うん。怖くて、お母様に相談したら、お母様にも、ミュミュにも、気味悪がられるかと思って」
「思うわけないでしょう。大切な娘なのだから」
ティティを優しく抱きしめる
安心したティティはもう一度自身の魔力を感じた
「く、ふぅ」
強すぎる魔力を必死で抑え込む
そのまま彼女は魔力を完全に制御することに成功した
強くなりたいという願いが本来の自分の力を引き出したのだろう
「ちゃ、ちゃんとできたよ!」
「うんうん、偉いすよお嬢! それにしても、うひゃぁ、ジュジュよりもすごいすね」
「我が娘、鼻が高いわ! なんてすごいんでしょう! ああもう可愛い!」
ティティの魔力は恐らくこの世界でもトップレベルに高い
人間族でありながら魔人やエルフと言った魔法の扱いに長けた種族よりも