猫の力12
翌日の朝、準備を終えた村人ご一行は馬車で宿場町を発った
この先は魔物が多くなるため護衛の騎士さんたちも相当警戒してる
何せこの辺りの魔物はBランクもいるらしく、王国騎士たちと言えども油断できない
さっきの宿場町には魔物避けがあるから問題ないけど、一歩その魔物避けから出ると・・・
「出たぞ! アースウルフの群れだ!」
お、あれは本で見た
アースウルフは確か単体ならEランクの魔物でそれほど強くないけど、群れになるとCランクに上がる
群れでの統率がしっかりととれてるからか、連携攻撃が厄介で、初心者の冒険者はよくやられてるんだとか
まあ今回戦ってるのは王国騎士にターナーさん
万が一にでも負けないでしょ
でも念のため私はいつでも戦いに出れる準備をしておく
一応ターナーさんにちび猫ちゃんをつけてみていると
「ふん!」
「てりゃあ!」
「一天牙」
うわ、騎士さんたちのスキルいっぱい見れる!
ターナーさんは・・・、スキル使わなくても強!
剣の一振りで何匹かの狼を倒してる
さすが王国騎士と元英雄
あっという間に狼を倒してしまった
「よし、死体を焼いて先に行くぞ」
ターナーさんが死体を焼くと言った理由は、死体を放置しておくと腐って病原菌の発生源になるし、何より魔力が多い土地だとゾンビ化するから
この辺りは魔力が豊富
だから魔物も多いってわけですよ
「よし、焼き終わったな。進むぞ」
再び馬車が進み始める
一応街道だけど、近くに山や森が多いから魔物避けを置いてもどこからか街道に侵入しちゃうみたい
しばらく進んでるけど魔物は出てこなかった
まぁそんなに頻繁に出て来てたら騎士さんたちも疲弊して大変だから、これでいいんだ
狼を倒して二時間くらい経ったときのこと
街道を何かが塞いでいた
「な!? アースボアが道を塞いでるぞ」
うっわあ、おっきい
とてつもなく大きな猪が道のど真ん中で寝てる
十メートルくらいあるんじゃないかな?
猫視点での誇張じゃなくて、人間の大きさから比較してだよ
「迂回は、出来そうにないな。仕方ない、俺がやるから皆下がっておいてくれ」
ターナーさん、何か策があるのかな?
猪の前に来ると剣を抜いた
「解放してやるぞラプネス」
剣が震える
そして剣が、うわあああああああああああああ!!!
気持ち悪! でっかい口になったこわいっ!!
それが猪を、食べた、バリバリと・・・
「うまいかラプネス?」
「ギュアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「そうかそうか」
うっわー
騎士さんたちもひいてる
私もひいてる
これはフィオナちゃんには絶対見せられないな。トラウマ確定しちゃうもん
剣を鞘にしまうとターナーさんは戻ってきた
「どうしたミア? 大丈夫か?」
「ん、んにゃ」
よし、記憶から消そうっと
その後は対して強い魔物も出ずに、順調に進んで、夕方には次の街に着いた