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魔王の王23

 いきなりマリュさんの姿がダブって消える

 高速で移動してるんだ

「何処を見ているんですか?」

 すでに後ろに回っているマリュさんの鋭い拳の一撃がまずタルニャに向けられた

「盾よ!」

 さすがは大盾のタルニャ

 拳は盾にがぎょんと阻まれる

 しかし盾は砕かれてタルニャは吹き飛んでしまった

「キャァ!」

 いくらでも盾を作り出せるタルニャだけど、次の盾を生成するには体勢を立て直す必要がある

 そこに来る追撃

 一人一人着実に戦闘不能にするつもりだ

「くぅ、ちょ、ちょっと待ってくださいな!」

「敵は待ってくれないよ? そんなこと言ってちゃ強くなれないよ。ほら頑張って頑張って」

 スパルタだ。果てしなくスパルタだ

 ドガドガと激しく殴り続けるマリュさん

 その拳はタルニャの地で染まっている

「セリャアア!!」

 そこをフィオナちゃんが剣で斬りかかるけど、あっさり首を掴まれ地面にたたきつけられた

 その間もタルニャはボコボコに殴られ続けて、顔面は変形してしまっている

「ぐぶぅ、うぶ」

 血がゴポゴポ口で泡になっている

 このままじゃタルニャが死んじゃう

「伸縮!」

 ミヨンが伸縮小槌で見事にマリュさんを叩いた

「縮め!」

 ギュンとマリュさんが小さくなった

 解放されたタルニャはピクピクとし、辛うじて生きている感じだけど、そこからすぐに再生が始まった

 緑の息吹の力なんだと思う

 すっかり元通りになったタルニャは立ち上がる

「そうですわね。今ので痛感しましたわ。わたくしはすごく弱い」

 盾を召喚するタルニャ

「ですから今ここで限界を越えますわ」

 ボフンとミヨンの力が打ち消されたのか、マリュさんの姿が元に戻る

「ふふ、いいですねその気迫。やはり勇者はそう来なくては」

「行きますわよ!」

 盾は複数出て、タルニャの周りを飛んでいる

 それがタルニャの体にガシーンと引っ付いた

「天、盾、砲!」

 盾は一斉にマリュの方を向き、力を溜める

「わたくしの今の最大出力ですわ! お喰らいまし!」

 盾からその名の通り、砲撃が一斉照射される

 地面に当たったところがガラス化していることから、かなりの温度なのが分かる

「ぐっああああ!!」

 それがまともにマリュさんのお腹にヒットした

「まだまだ! もっともっとですわ!」

 次から次へと盾が換装されて、マリュさんを追撃していく

 ジュウという肉の焦げる臭いが充満してきた

「あっつ、あついです!」

 砲撃が終わったあと、立ち込める煙から元気な姿のマリュさんがでてくる

「そんな、わたくしの、本気、でしたのに」

 魔力切れを起こしたタルニャはその場に倒れ込んだ

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