魔王の王17
死者たちの王が最後に言ったあの男
犯人は男だってことは分かったけど、それ以上は死者たちの王も知らなかったみたい
突然甦らされてそのまま放置されたってことかな?
そういえば他の話が通じる魔王たちも同じようなことを言ってた
彼らは姿は見てなかったみたいだけどね
「取りあえず、ちょっとだけど情報は得れたかな? よし、帰るか」
「待って、そこに何か落ちてる」
死者たちの王の灰の中にきらりと光るもの
オーブだった
「これで何か分かるかもしれないね。持ち帰ろう」
オーブをポケットにしまうと、私達は帰路についた
半日後、お昼すぎには街に戻れた
無事私達が帰って来たことにギルドの人達も安どした様子
報告を済ませるとオーブを調査に回してもらった
「さてと、フィオナちゃんには魔力を伸ばすためのコツを教えないとね」
クピアさんがギルドマスターに詳しい説明をしている間、私達とニッサさんで魔力を伸ばす訓練をすることになった
ギルドの一室を借りれたからそこでね
「さてと、まあこれは簡単なんだけど、瞑想って知ってる?」
「はい、心を落ち着かせるってことで学園でもたまにやってました」
「そう、それが重要。心を落ち着かせて魔力の流れを体で循環させるの。循環、循環。ただそれだけの初歩的なことなんだけど、それを続けることで飛躍的に魔力量は大きくなるの」
確かに学園ではみんなやってた
まさかそれが魔力を伸ばすためのものだったなんて
「まあ魔術特化でもない限りあまりやらないかもね。魔術学園とかなら普通に教えてもらえるんだけど」
そういえばまだ眠ってるメアリーならその辺りのことは詳しいかも
値がさ寝たら聞いてみようっと
「じゃ、皆でやってみましょう」
私達は目を閉じて瞑想を始めた
最初は色んな事を考えてて集中できなかったけど、だんだんと魔力が体を巡るイメージができてきた
グルグル、ドクンドクン
そんなイメージで魔力が少しずつ膨らむ感じ
心も静まって穏やかになって、感覚が研ぎ澄まされていく
今なら数キロ先のアリの足音だって聞こえそう
だんだんと魔力とはどんなものなのか、みたいな感覚になって行って
少しだけど私の中にある魔力が大きくなった気がしたよ
「皆いい感じ。タルニャちゃんはもう少し集中しようね?」
「うう、どうしても今日の晩御飯のことを考えてしまいますわ」
この子、王族なのに結構食い意地が張ってるねぇ。まあそこがタルニャの可愛い所でもあるのですわ
「ありがとうございましたニッサさん」
「いいのよ、勇者ちゃんたちが強くなってくれれば、よりたくさんの人たちが守れるもの」
ああ、やっぱりこの人たちは、すごい冒険者なんだなぁ。と思った今回の旅でした