魔王との戦い31
少したってから勇者マーキナは戻って来た
私達に会いたいってことで部屋まで来てくれたんだけど、なんというかもう、すごいの一言です
「おおお、おおおおおお!! 可愛い、可愛いですねあなた!」
マーキナは私の思った以上に激しい人だった
「このふわっふわの毛並み! 湿ったお鼻! クリッとした目! そして、スゥウウウウウウウ・・・。いい匂い!!」
もふられ嗅がれ、抱っこされてそのままマーキナは部屋にあった椅子にポスンと座って私を撫でくりし始めた
「ううう」
「猫ちゃんかわいいねぇかわいいねぇ。お名前は何でちゅかー? 言えまちゅかー? 猫が話すわけないか。タハハハハ」
「喋れますけど?」
「ぬぉおおお!! 喋った! 猫が喋った! これは・・・。最高ですか!?」
駄目だこの人、目が狂気じみてる
それに力つよっ
潰されそうってことはないんだけど、抜け出せない
「うぇへへへへへ、猫ちゃぁああん、可愛いよぉ」
「あの、そろそろミアを離してください!」
「えええ、もうすこし、もうすこしだけ」
「いいよフィオナちゃん、この人も魔王との戦いで疲れてるんだろうし、私で癒されるなら癒されたらいいさ」
「ありがとう猫ちゃん! ミアちゃんっていうのね? ああ、最高だわぁ」
見た目は華奢な機械人の女性だけど、そこは流石機械人と言うべきか、人間よりはるかに強い
ともかく満足いくまでモフモフさせて、一時間後にようやく解放された
「ありがとね! 私はマーキナ! この世界でいっちばん強い勇者だ!」
「一番?」
「そうだよ! なんてったって最強の兵器使いだからね! どんな魔物も魔王も、私の兵器の前ではなすすべなしってね」
すっごい自信
まぁそれに裏付けられるだけの実力はあるみたい
あの帝国を救った光と闇の勇者に匹敵するかもしれないらしいし
あれ? この世界強い人たちいすぎじゃない?
まぁそのおかげでこの世界は守られてるからね
「そういえば君たちがこの街を守ってくれたんだってね。ありがとう、街を代表してお礼を言うよ」
「勇者としては当然の働きですわ!」
うお、タルニャいつのまに
部屋の扉のところにいつの間にかタルニャが立ってる
「あなたがマーキナさんですのね? ああ、なんて素敵な光沢。美しいですわぁ」
「ふっふっふーん、私の体、綺麗でしょ!」
タルニャ、ドワーフだけあってやっぱり金属とか好きなのかな?
凄く目が輝いてる
「あ、違いますわ。マーキナさんを見に来たのではなくてですね、報告がありますの。魔王ドールズが再び現れましたわ」
その報告の直後、街でまた火柱が上がって地響きが起こった