異世界人13
報告に戻ったデュースだが、まだ少し納得はできていない
「戻ったかいデュース」
「お、おま、このたった一日で何があったんだ、そんなにやつれて」
「だ、大丈夫、大丈夫、ちょっとトゥーのお手伝いが壮絶だっただけだから」
「いやそれ大丈夫じゃないだろう?」
目に見えて惨状
ケイジのいる部屋は滅茶苦茶になっていて、その中心辺りでげっそりとしたケイジが転がっている
そして彼の横にはスヤスヤと可愛い寝顔で眠る幼女
「こらトゥー!」
「ひゃい!!」
トゥーと呼ばれた幼女は飛び起きて気を付けの姿勢をとる
「ケイジが死にかけてるぞ、何があったんだ」
「え、えっと、あーん、なんだっけ? あ、そうそう、ケイジ君のお手伝いしてた! そしたら、なんかぶわーってなって、ケイジ君が吹っ飛んで、それでー、えっと、なんかこうなった!」
はぁとため息をつくデュース
「もういいから遊んでおいで」
「うん!」
トゥーがめちゃくちゃにした部屋の後始末を二人で始め、報告は大幅に遅れることとなった
遊んできていいと言われたトゥーは教会を出ると外にいた子供達の元へ走った
トゥーは若干六歳ながらかなり強力な力を有している
まだ幼いゆえにちゃんと使いこなせてはいないが、復活した魔王程度なら一人で屠れるだろう
ザ・ゴッドという力を持ち、神々から力を借りることができる
まさに神々に愛された少女と言うわけだ
ケイジが吹き飛んだのは、風の神ゼピュロスの力が暴走してしまったためだろう
普段遊んだり、普通の生活をしている分には力は発揮しないが、何か考え事をしたりして脳の処理速度が限界を超えると勝手に発動してしまう
そのためケイジなど力のある幹部たちが彼女の面倒を見ている
今回資料整理を手伝ってもらっていたのも、その脳の処理速度を鍛える一環だ
結果は、前よりは伸びていた
順調に彼女も成長しているようで、その結果にケイジも満足していた