魔王との戦い23
帰ったのはいいけど、まだ警戒態勢は続いている
というかすごい音が響いてる。耳が壊れそう
ここの予測装置やレーダーってかなり正確だから、嵐の魔王を倒した今騒いでいるのはおかしいよね
取りあえず走っていた異世界人っぽい研究者の一人を捕まえてみる
「勇者かい? よかった、もう戻って来てくれたんだね。反応が消えたから倒してくれたことはわかってたんだけど、相打ちになってないか皆心配してるよ。こっちへ、報告を頼むよ」
異世界人の男性に案内され街のギルドへ
冒険者ギルドには機械人の冒険者を始めとしたさまざまな種族が入り乱れていて、皆戦いの準備を始めていた
「おお、勇者様、戻られましたか」
ギルドマスターと思われる老人の機械人が手を振ってこっちへ来るよううながしてる
ぞろぞろと私達はマスターの元へと歩き出る
「小さいな。こんな小さな子達に頼らざるを得ない俺たちはなんて不甲斐ないんだ」
冒険者たちはそういうけど、勇者たちはそんな冒険者たちも含めて守るために戦う
フィオナちゃんもタルニャもそれをちゃんと理解しているからね
「実は君たちが出てから少し経って、別の魔王が現れて、この街の近くで暴れ始めたんだ。あれは恐らく音の魔王ハーモニー。先ほどからもう気づいているとは思うが、街に爆音が響いているだろう」
ああ、あの音サイレンじゃなかったんだ
なんかサイレンっぽい音だったから警報鳴らしてるのかと思ったよ
「あれは魔王の叫び声でな。この街の名はあの魔王の名からとったものだ」
マスターが言うには、魔王ハーモニーはこの土地で歌を歌い、人々に呪いを振りまいていたらしい
ただその歌があまりにも綺麗で、この土地はハーモニアと名付けられたとのこと
その魔王ハーモニーは、呪いこそないものの、かなりの爆音で歌ってるみたい
いや、これ歌って言うより叫び声だね
頭われそう
「ともかくすぐ行きます!」
もうすでに何人かの冒険者たちが行ってるみたいなんだけど、鼓膜が破れて負傷し、帰って来てるみたい
「これを持って行ってくれ」
その結果、即席で音を防いでくれる耳栓を即席で作ってくれたみたい
「どう? 聞こえないでしょ?」
ボードに文字を書いて会話してくれる研究者のお兄さん
ぜーんぜん何も聞こえないや
あれだけうるさかった叫び声も聞こえない
連携が取れるかは分からないけど、このまま放っておけば呪いが振りまかれちゃうかもしれない
準備も出来たところで私達はハーモニーの元へと走った