魔王との戦い22
現場はハーモニアから一キロほど離れた山間の元迷宮
ここには迷宮があったんだけど、魔王と勇者との戦いによって破壊されて、今ではただの浅い洞窟になってしまっていた
一応入ってすぐのところがかつての最深部らしいんだけど、本当にただの洞窟になってる
そこの奥に壊れた椅子が置いてあるんだけど、そこに何かが腰かけていた
それは目を開くと、こちらをしっかりと凝視してきた
「人間、の、勇者か・・・」
復活したばかりで言葉がとぎれとぎれだ
「あなたは嵐の魔王ですね?」
「そうだ、な、かつてはそうだった。だがわしは、もう死んだのだろう? 風の勇者にこの胸を貫かれた、のを、覚えているからな」
なんだか敵意を全く感じない
「わしはすでに負け、永遠の眠りについていた。起こしたのはお前、たちか?」
「いえ、私達はあなたの復活を阻止するために来た勇者です」
「ああそうだったな。勇者が蘇え、らせる、訳がない。わしは今代の、魔王か何かに、復活させ、られたのだろう。お前たちの、ような、若い勇者では、多少なりとも不服では、あるが、わしを倒せ」
「で、でもあなたは、それでいいのですか?」
「ああ、わしはもう過去の遺物だ。すでに役目は終えてある。お前たちも役目を果たせ」
「役目?」
「魔王を倒すのが勇者の役目だろう! さぁ、やれ!」
フィオナちゃんが剣を構え、嵐の魔王の首をはねた
「・・・」
「満足そうな顔だね」
「うん」
嵐の魔王はどこか幸せそうな顔
そして砂となって消えていった
「それにしても気になることを言ってたよね」
「ええ、役目、と言っていましたわ」
「役目、か・・・。魔王は人類に敵対するのが役目、それを倒すのが勇者ってことかな?」
魔王の最後に残した、役目、って言葉が私達の中で引っかかった
とりあえず、無抵抗だったけど、嵐の魔王を倒したことを報告するため、私達は戻った