勇者13
満身創痍、と言うほどではないにしろ、二人は実力の差を見せつけられ、意気消沈して帰って来た
そして帰って来て早々にとんでもないモノの気配を感じ、背中に汗を垂れ流した
「グ、グルリシア・・・」
「分かってる。でも、もう向こうはこっちに来てる。戦うしかないかも」
そして二人が戦う決意を終える前にそれは姿を現した
一見するとただの少女で、それこそこの世界の勇者たちよりも幼く見える
だが力は明らかにこの世界のものではなく、大気自体がビリビリと震えるかのような威圧感があった
恐る恐る話を聞いてみたが、少女は自分を鬼神ハクラと名乗り、この世界に害をなす者ではなく、むしろその逆で、世界を救う者だということが分かった
分かって入るのだが、二人は震えが止まらなかった
二人が怖がっているのを見て少女は力を抑えてくれはしたが、それでも恐怖は拭えたわけではない
ひとまずは少女の言葉を信じ、報告するしかなかった
「でもあの子」
「ええ、力はものすごくて怖かったけど、雰囲気は優しかったわね」
少女はまるで花畑にいるかのような安心できる雰囲気を放っていた
勇者にはそういった直感が働くことがある
少女から感じたのは優しさ
それはこの世界にいる勇者たちが持つような優しさと同じもので、人を守るために戦っているというのは信じるに値すると二人は確信していた
それぞれの国王に報告をすませ、勇者たちへの報告も終える
勇者たちへ報告する方法は、異世界人同盟が配ってくれた通信機で簡単にできる
便利な時代になったものだと二人は思った
鬼神ハクラと出会ってから数日後
特に周辺で変わったことはなく、勇者としての仕事として、近くに出た魔物をいつものように退治する二人
二人はピュレイア王国とアルドシア国に守りを絞ることによってそれぞれの国は安全性を保っている
だが最近では魔物の量も増え、さらに質まで上がって来ていて、今のままの二人では疲弊するばかりだった
ここは自分達も強くならなければならないと、二人は近くにあるダンジョンへと挑む決意をした