魔王との戦い14
妖精たちの案内してくれたところは、ひときわ大きな花々が咲き乱れてる場所で、その中央に桜の木のようなものがドデンとそびえ立っていた
世界樹ってほどじゃないけど、樹齢千年は行ってそうなほどに太くて大きい
そこから一人の蝶の羽を持つ女性がふわりと降りてきた
「あら、勇者じゃない。何年ぶりかしら? 勇者がこの土地に来るのは」
「五百年ぶりです女王様」
いつの間にか女王と呼ばれた女性の横にスーツ姿の女性が立っていた
彼女は妖精じゃないのかな?
他の妖精と魔力の質が違う
「ああ、そうだったわね」
妖精女王は花のように可憐な妖精で、いい香りがする
「あなたたちの目的は分かっているわ。ここに引きこもっているだけの私だけれど、外の世界のことは世界中にいる妖精たちから伝わっているから」
女王はいつの間にか用意された机と椅子の着席した
うわ、紅茶まで
「皆さんも座って。一緒にお茶をしましょうよ」
紅茶を注いでいくスーツの女性
「ありがとうワース」
スーツの女性の名前はワースさんって言うみたい
凄くできる女性って感じ
種族は、えーっと、真人!?
人の進化の形、ハイヒューマンとも呼ばれる人間族の進化先の一つ
え、人間って進化できるの?
混乱している中、私にも紅茶が配られた
しかも私の分は冷ましてくれてる!
文字通り猫舌だからね
で、紅茶を飲みながら妖精女王は話してくれた
「はい、私の名前はモルガナ・イルシュ。私達妖精女王は代々モルガナの名前を継いでいるのです。まあそれはいいですね。魔王についての方が重要ですものね」
モルガナさんは側頭部をトントンと叩きながら何かを思い出してるみたい
「女王様、太古の魔王の一人、大気のエアロスについてです」
「そうね、そうだったわ」
大丈夫かなこの人
忘れっぽい性格なのかも
ワースさんがその都度思い出させてくれてる
「で、エアロスという大気を操る魔王なのですが、彼がこの国の上空で風の繭を作り出してとどまっているのです。近づかなければ影響はありませんが、ピクシーやドクシーたちは好奇心が旺盛で、あの風に巻き込まれないか心配なのです」
「太古の魔王って敵対していないと聞きますが、エアロスはどういう魔王なんですか?」
「彼の魔王は大気を操って、雨を降らせたり、台風などを消したりしてくれたそうです。やはり友好的みたいですよ」
太古の魔王がまた蘇ってるのか
私あまり詳しくないけど、少し前に出会ったあの人も太古の水の魔王って言うし
敵対していた魔王と友好的な魔王が同時期に復活してるっていうのも気になるなぁ
まあ今はそれより妖精たちの心配事を片付けないとね