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魔王との戦い11

 魔王ベベルと名乗ったことでエルヴィスが何かを思い出すように考え込む

 そして

「そうだ! 太古の魔王、水の魔王ベベルだ! 遥か遥か昔の、まだヒト族と魔族が仲が良かった時代の、勇者の恋人!」

 それは今から数万年前の話

 その時代にヒトと魔族の垣根はなく、魔物たちも普通の動物と同じように暮らしていた

 勇者として生まれても魔王を倒さない

 魔王として生まれてもヒトを襲わない

 この世界は平和だった

 しかしある時、大きな悪意が世界を覆い、やがて魔王の中にヒトを支配したがる者が生まれた

 その平和だった時代最後の魔王がこのベベルという女性魔王だった

 彼女は勇者と恋に落ち、夫婦となった

 そして悪意を持った最初の魔王を倒したのが二人の子供だったという

「でも文献だとベベルって、確かかなり聡明で、こんなに子供っぽいことをする人じゃなかったと思うんだけど」

 不思議そうに首をかしげるエルヴィス

「魔王復活の時に頭だけ子供の状態で蘇ったんじゃないかしら? だってあの獣の魔王も、明らかに知性がなかったじゃない」

 確かになと全員が納得する

 彼女は復活したてで、どうやら心だけが子供の状態らしい

「あのーね、わたしーの、ママーと、パパーが、いないのー、だかーーら、寂しいーくてー、あなたーの、猫ちゃーん、ついー連れてきちゃったー、悪ーいーことーは、ママがやっちゃーだめってーー、ひっぐ、いっでだ、のにぃいいうっぐ、ぐすっ」


 誰かの泣き声が聞こえて私は目を覚ました

 クッションの上に寝かされていたのでふいとその声の方向を見ると、フィオナちゃんたちと私を攫った女の人が何かを話している

 泣いているのは女の人の方

「ぐすっ、ぐすっ」

 猫のぬいぐるみをたくさん抱えている女性

 見た目はとてつもなくきれいで、長い黒髪に青い肌

 魔力の感じから魔族だってことは分かった

「あの」

 私が呼びかけると女性は泣きながら振り向いた

 そして私を抱え上げると優しく抱きしめる

「ごめんーね、ごめんーね」

 この人、ものすごく優しい人だと思う

 うっすらとした記憶の中、この人が優しく私を撫でてたのを思い出す

「どうしよう? 魔王、だよね」

「でも太古の魔王たちって人に友好的だよ?」

「取りあえず連れて帰って聞いてみる?」

「岸にマリュさんがいるから聞いてみよう」

 ひとまずの所はマリュさんに助言を仰ぐことにして、太古の水の魔王、ベベルさんだったかな?

 彼女も連れて行くことにした

 そういえばこの人に攫われるとき、この人の姿がドロドロとした化け物に見えたんだけど

 あれは後でわかったことなんだけど、ベベルさんは魔王の能力で水を操れる

 それで作った分身のようなものだったみたい

 ただ、復活したばっかりで自分の姿に作ることができずに、あのような化け物になってしまったっぽいね

 この人絶対いい魔王だから、エルフたちが受け入れてくれればいいんだけど


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