異世界人10
帝国の復興も急ピッチで進められたことで、後数ヵ月もすれば完全に街は元に戻るだろう
街は・・・
ケイジは報告書に目を通していく中で、気になる情報が目についた
「なんだこれ」
一緒に報告書を見ていたデュースに自信が呼んでいた報告書を見せる
「・・・なんだこれ、世界各地に謎の白い影? それは何をするでもなくひょこひょこと歩き、まるで子供のように時折はしゃぎ、急に現れたかと思えば急に消える・・・。意味が分からんな」
「だろ、もう少し詳しく書いてほしいところだけど、これが全容らしいんだ」
「見間違いって線もあるだろうけど、これだけ報告が多いと何かありそうだが」
「何かあってからじゃ遅い。念のためこの白い影ってのを捕捉できるよう異世界人同盟で調査する必要があるね」
「じゃあ俺が行こうか? こういった案件は俺の能力が最適だろう?」
デュースの力は空間
まさしくどこからでも現れ、どこにでも消える相手になら自身の力でその空間ごと切り取ってしまえる
見つけた瞬間相手は逃げることができなくなるのだ
彼の空間に引きずり込まれれば、彼が許可する行動以外が取れなくなる
実力も幹部の中でも五位とかなり高い
「たのむよ」
「了解、てか残り任せて大丈夫か?」
「もうすぐトゥーが来るから大丈夫」
「え? それ本当に大丈夫なのか? あいつバカだぞ」
「大丈夫だよ。あの子だってやればできるから」
「・・・。まあいい、ちょっくら行ってくる」
デュースは自身の能力でその場から消えた
跡形もなく消える
空間自体がそこから消え、そこには別空間が作られる
彼が空間移動した後は瞬間的に真空になる。そのためそこに周りの空気がなだれ込み、風が起きる
ケイジはその風で資料が飛ばないよう抑える
「まったく、問題が起きすぎだよここ最近」
悩めるリーダーはふうとため息をついた