表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160/488

魔王との戦い4

 見た目は人型何だけど、目も口も鼻もない

 かといってのっぺらぼうみたいなノペッとした顔じゃなくて、まるでドロドロに溶かしたかのような顔

 それがこっちを振り向いた

「ひぅっ」

 そいつはセミのような鳴き声を発してこっちに走って来た

 手にはドロリとした何かが掴まれている

 とっさに私は、あれに触れたらヤバイと思った

「フィオナちゃん! 避けて!」

 そいつが飛ばしてきた液体を間一髪避けると、転がっていた死体らしきものにかかる

 とたんにジョワッと音がして、死体は骨だけになった

「なんなんですのこの化け物は!」

「攻撃! 遠距離攻撃だけして! こいつやばい!」

 近距離しかできないタルニャじゃ部がかなり悪い

 私は空牙や空爪を使って相手に攻撃したんだけど、傷がついたそばからその傷が直ぐ治って行く

「ともかく捕らえられた人たちを助けないと!」

 私は空間収納を使って、まだ生きている人たちと、死んでしまった人たち、そして、間もなく死を迎えるであろう精霊と人間のハーフの少女を助け出した

「走って!」

 すぐに全員が踵を返して元来た道をを走り出す

 後ろからセミのような鳴き声がずっとついて来てるのが分かるけど、誰も振り返らなかった

 そして出口が見える

 皆飛び出して、私はすぐに出入口を塞いだ

 でも訳の分からないナニカは上半身だけがガバッとその出入り口が塞がるのを止める

「まずい、出て来る! 誰か力を貸して!」

「任せてですの!」

 巨大なハンマーを振り上げ、ナニカの頭をつぶす

 そこでようやく動きが止まったけど、頭はグチュグチュと動いて元に戻って行ってる

「この!」

 そいつを空爪で押し返し、空間に放り込むと、扉を塞いだ

「はぁはぁ、はぁはぁ」

 何だったの今の・・・

「うう、怖かったよぉ」

 メアリーは恐怖から解放されて泣き出す

 あれが死んだとは思えない

 あいつはきっとまた来るし、人を攫うと思う

 それほどの執念だったんだ

「そうだ! 速く回復させないと!」

 私は命がどんどん削れて行ってる勇者の少女、ミュリュアルを空間収納から出して体を見る

 両手両足が先から少しずつ切り取られたような傷痕

 右半身の皮を剥がれ、さらに右脳がむき出しに

 それでもまだ息があるのは精霊の力が作用しているからなのか

 私はクロと出会ったことで、精霊の力の使い方を知っている

 この子は私の能力で直るかどうかわからないけど、精霊の力を加えればきっと大丈夫っていう確たる自信があった

「ああ、ああ、あああああああ!! ミュリュアル様! ああああ、なぜこのような、あああああああああああ!!」

 叫ぶように泣くクレアさんをフィオナちゃんたちに落ち着かせてもらい、私は治療を開始した

 肉球の力で細胞を活性化させて、失った部分を再生させる

 腐り始めていた内臓や、脳の一部もこれで何とか再生できると思う

 そこに精霊の力を注いでいって、さらに治癒の力を高めた

「もう少し・・・。よし! いけそう!」

 段々と欠損が再生していって、やがてミュリュアルさんの体が元に戻った

 あと少し遅かったら、多分亡くなっていた

 あの化け物、一体何だったの?

 私はまだ震えが収まらない中、あの化け物のことを考えた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ