魔王との戦い1
オアルティミシアの精霊城
精霊は人の前にめったに姿を現すものではなく、あのお調子者の猫精霊クロですら普段人の目に触れることはない
そもそも心根が邪悪な者、悪意のある者に見ることはまずできない
そのため伝承では勇者や聖者、英雄などの前にしか現れず、その姿を見ることができれば幸せになれるという伝説まであるほどだ
精霊の力を使える異世界人ダットソンや、精霊魔法使いなどは、その心が清らかであるため、精霊達も力を貸す
そんなおアルティミシアで起こった不思議な事件
精霊城で精霊達と談笑していた、精霊の勇者ミュリュアル
彼女は半精霊で、人間と精霊との間に生まれた少女だ
そんな彼女は、談笑していた制定の目の前で突如消えた
本当に何の脈絡もなく、まるでどこかへ転送されたかのように消えたのだ
精霊達は自分達の大切な勇者で、友人で、家族なミュリュアルが消えたこと二嘆き悲しみ、同時に世界中にいる精霊達に捜索のための連絡を取った
世界には見えないだけで精霊が溢れており、極々小さな精霊も合わせると世界のどこだろうと監視の目が行き届くというわけだ
だが、その監視の目にすらミュリュアルの姿は決して映らず、まるでこの世界自体から消えてしまったかのようだった
精霊達は余計に悲しみ、この国自体が震え始め、まるで地震のような揺れを感じる
精霊達を愛し、勇者ミュリュアルを愛したこの国の住人も、同様に悲しんだ
「ミュリュアル、私の可愛いミュリュアルはどこ?」
ミュリュアルの母、火精霊のエンジュはとにかく取り乱し、自ら世界中を飛び回る始末
そんな最中のことである
他国の勇者たちがやってきて、行方不明のミュリュアルを探すと申し出てくれたのは