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異世界人8

 ケイジは攫われた異世界人たちを助け出すため、帝国を本気でつぶそうと考えていた

 その怒りは空間自体が震えるほど

 幹部の異世界人たちも彼の怒りに少し恐怖を感じるほどだった

 しかし、到着してみればすでに事件は解決していた

 光と闇の勇者により、帝国に救っていたナニカはすでに倒されていたのだ

「なんというか、あれだけ額に青筋浮かべて、本気を出すなんていきってさ・・・。僕空回りで、とんでもなくカッコ悪い、よね」

 落ち込んでいいのか喜んでいいのか分からない表情

 もちろん大切な仲間たちが助かったので、喜びの方が勝っているのは間違いない

「まあさ、リーダーが本気出しちゃったらそれこそこの国なくなってたでしょ。それ考えたら、よかったんじゃない?」

「セイコ・・・。そうだね。被害は少ないに限る!」

 幹部の一人、セイコ・アスミに諭されて元気を取り戻すケイジ

 そして帝国復興の手伝いのための指示を飛ばし始めた

「あたいらにも手伝わせてくれ」

 そう言ったのは帝国十二覇人に酷い目にあわされ連れ去られたはずの三人、ドリシア、パリス、ケイトリン達だった

「あたいらはもう戦えない・・・。あたいはともかくパリスとケイトは、こころが完全に負けちまってる。二人の能力は戦いに確かに役立つが、もうあんな目に合わせたくない。あたいはいくら使ってもらって構わないからさ」

「それはだめだよ」

「なっ! ちょっとケイジ!」

「君にも休んでもらわなくちゃ。君だって、怖い思いをしたんだ。大丈夫、バックアップは全面的にする。生活に苦がないようにね」

「・・・。すまないリーダー。ありがとう」

 三人がアンジュによって街に戻ったすぐ後のこと

「大変だよリーダー! テンリが自殺しようとしてる!」

「すぐいく!」


 騒ぎの起こっている城の中

 テンリは取り乱していた

 自分がたくさんの人を殺してしまったこと、何の罪もない、守るべき対象であった子供を殺してしまったことに自責の念が堪えられなくなったのだろう

「ああああ!! 私は! この手で!! 放せ! この首吹き飛ばして! 死んで詫びるしかない!!」

「死んで何になる!」

 取り乱すテンリに声をかけたのは、テンリに両腕をもがれて攫われたダットソンだった

「あ、うう、あなたも、私が憎いのだろう? その剣を私に突き立ててくれ! 私を、殺してくれ」

 顔を手で覆い、むせび泣くテンリの肩に、光の勇者によって治してもらった手を添える

「おれは分かっている。操られながらも必死で自分を止めようとしていたことを。涙を流していたことを」

「でも、私は」

「お前のせいじゃない。どうしようもなかったんだ。誰にも止められなかった。それに、止めれなかった俺にも責任がある。俺がもっと強ければ、お前を止めることだってできたし、王と王妃が亡くなることはなかった」

 テンリの心の傷は深く、恐らくなんども自ら死のうとするだろう

 そんな彼女に寄り添うと、ダットソンは心に決めたのだった

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