転生者30
「ありがとうございました! おかげで僕、勇者としてがんばれそうです!」
「んにゅぅ、私ら全然手伝って気がしないけど、自信がついたのならよかったよ。これから頑張ってね」
「はい!」
カリュフはニッコリと笑う
驚くほど美少女!
そしてクォロンはさみしそうな顔をしていた
これからカリュフは魔王を倒すため旅立つ
離れ離れになるのが悲しいんだと思う
「カリュフ、いつでも帰って来いよ。そして苦しい時は俺を呼べ。かならず助けに行くからな!」
頭をポンポンと優しく撫でる
でも、でも違うんよクォロン
君は
「だったらついて来てよ兄さん」
「んえああ? それってありなのかよ?」
「ありも何も、勇者って必ず仲間がいるもんだよ。私達がそうでしょ? まあタルニャはちょっと特殊で、なぜか私達についてきた勇者なんだけど」
「そ、それは、歳が近いし、国も近いし、仲良くなって一緒に戦いたかったんですもの」
「まあさ、ついて行く理由なんてその程度でいいんだよ。勇者の仲間は、この人について行きたいからなるものでさ、クォロンもこの子について行きたいんでしょ?」
「そりゃぁもちろん、俺の大事な弟分だ。守ってやりてぇ」
「じゃあいけばいいじゃん」
「おう、そうか、そうだな! 一緒に行くぜカリュフ!」
「やった!」
うんうん
実を言うと勇者の仲間は神とかが定めてるものじゃない
私達も神様が選んでるんだって思ったけど、どうやら惹かれ合うっていうのが条件みたい
これはこの前バステト様が言ってたから間違いない
お互いがお互いを大切に思い、お互いに力を引き出せ合う。それが勇者の仲間
カリュフとクォロンは幼いころから一緒にいるし、その点で言うとかなり相性がいい
これから二人は、いい勇者とその仲間として冒険していくんだね
「ありがとな、お前らがいなきゃ、俺はこいつを一人で旅立たせるところだった。俺は心配で死んでたかもな。だがこれで心配事はなくなった!」
これにて依頼達成かな?
「あ、そうだった。ねーフィオナさん、消滅の勇者って知ってる?」
「消滅の勇者?」
「おう、その話か。実はな、冒険者ギルドでも噂になってんだが、オアルティミシアっていう精霊国家を知ってるか?」
「精霊国家、知ってます。様々な精霊達と交流し、自然を愛する国だとか」
「おお、その国だその国だ。でな、オアルティミシアの勇者が消えちまったらしいんだ。精霊たちの目の前でな」
クォロンから聞いた消滅の勇者の話
消滅してしまった勇者
この話こそ、あの魔王復活に関わる大事件始まりだったのでした