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勇者5

 サミダレ国某所にて

 サミダレの勇者アラマキは山の方をにらみつけていた

「あそこか」

 何かが燃え上がりながら飛んでいる

 アラマキはそれをにらんでいるのだった

 しかし普通ならばそれは目視できるようなものではない

「フン!」

 アラマキが居合の体勢に移る

「てりゃああああ!!!」

 剣を抜いて斬撃を放った

 その斬撃はグングンと空高く飛び、さらに加速していって、空を飛ぶ何かの翼を切り裂いた

「ギュアアアアアアアアアアアア!!!」 

 それは奇声をあげながら落ちて来る

 そして地面にズドンと、まるで隕石のように着地した

「貴様が蘇りし魔王、天炎のフレイムか」

「グルルルルルル」

 天炎はまるで野獣のように唸るだけど、その目におよそ知性というものは宿っていなかった

「操られている? いや、蘇らせるときに知性を奪ったのか。ならば容易い」

「ウガアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 天炎が襲い掛かってくるが、荒巻はその業炎を剣で受け流し、天炎の脇腹当たりを切り裂く

「硬いな、なかなかに」

 肉を少し削った程度だったが、ダメージはあった

 さらにアラマキは剣撃を与えて行く

「ぐ、ぐぎゃ、ぎぃいいい!!」

 炎が全く意に介していないようで、アラマキはやすやすと炎を切り裂き、体を斬りつける

「やはり復活した魔王は強化されどもそれを扱える知性なし。脅威にはなりえぬな」

 斬り続けた結果、魔王天炎のフレイムは少しずつ弱り、やがて動かなくなって消滅した

「一体誰がこのようなことを・・・。魔王とは言え死者を冒とくする行為、許すまじ」

 彼女はサミダレの勇者、切断武人のアラマキ

 能力は通常の人間でも持てる身体強化などしかないが、その天性の剣と武術の才だけで勇者になった異例の勇者

 元々は鬼人の呪霊だったが、トガツメヒメに自我を戻してもらったことを感謝し、彼女の護衛となった

 そのためこの国から動くことはせず、積極的に魔王討伐には出ない

 だが近くに魔王が出たのならば話は別だ

 復活した天炎を討つため、彼女は単身うって出たのだった

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