帝国十二覇人8
「いいぞオプサリス、よくやった。さて、能力をもらおうか」
オプサリスに襲撃され、息はあるものの戦えなくなった異世界人の三人
一人は恐怖で自分の尿にまみれていたため、その臭いに顔をしかめるプロフェッサー
「臭いが、まあいい、能力を奪うのに触る必要はないからな。お前たちは僕の糧になる。喜ぶといい」
下顎に雑に包帯を巻かれ、なんとかにらみつけている少女ドリシア
恐怖で話しかけられたり、何かをされそうになる度に失禁するパリス
背骨を折られた為下半身に感覚がなく、その絶望からか虚ろな目のケイトリン
そんな三人に手を向けると、プロフェッサーの手から光が飛び出して、三人の能力を奪った
「ふむ、なかなかにいい。オプサリス、三人を治療室へ運べ。力はなくなったが、死なれれば私に宿った能力が使えなくなる。サンディエナの弟子たちに治療させておけ」
オプサリスは三人を抱え上げる
パリスから滴る尿が体に着くことも構わず、治療室へと運んだ
「さて、まだまだ力は足りない。能力は奪ったとはいえ、適応したものじゃあない。どうしても能力は劣化するな。まあいい、たくさん奪えばそれだけ能力の幅も広がるからな」
戻って来たオプサリスに再び命を下す
「まだまだ足りないよ。どんどん連れて来るんだ」
オプサリスはコクリとうなづき、再び出かけて行った
一方、他の命を下されていたラーナとサンディエナ
サンディエナの目の焦点は相変わらず定まっていないが、プロフェッサーに忠実に動いている
ラーナは能力を使って周辺国に溶け込んでいた
彼女の霞雲と言う能力は、自身の体を霞に変えることもでき、広がれば広がるだけ、見聞き出来る
その結果様々な情報を得るラーナ
ただこの状態の彼女にはかなりの負担がかかり、脳にダメージが多い
そのためのサンディエナだった
傷ついた脳を彼女の能力でカバー
そうすることにより広範囲にわたる情報収集を可能にしていた
「・・・」
お互い何かを話すことはないし離せないが、彼女が見聞きして得た情報は、戻り次第プロフェッサーによって取り出され、仕分けされ、有益な情報とそうでないものと区別される
当然それは勇者たちに関する情報
このあたりならばバララスラの勇者フィオナ、アースランド王国の勇者タルニャ、行方不明の帝国の勇者ワサビ
帝国の勇者は帝国がおかしくなってから生まれた子で、勇者認定をされた直後にどこかへと逃げてしまった
勇者の力も取り込みたかったプロフェッサーからすれば歯噛みする思いだろう
勇者ワサビの情報は得れなかったものの、フィオナとタルニャの情報はたくさん得ることが出来た
その情報を手にラーナはひとまず帝国へ戻ることにした