異変4
「ぬぅ、まさかもう命の危機にさらされるとは思わなかったわ。すまぬ、わらわの落ち度じゃ。ほれ、もっと強靭な体にしたからこれであの程度の攻撃、受けてもなんともないじゃろう」
「バステト様?」
「うむ、死にかけておったから修復して強化しておいた。わらわは世界の内情には干渉できぬでな。このくらいしかしてやれぬが、今度こそ大丈夫じゃろ」
「ありがとうございます!」
「さぁ目を覚ますのじゃ。待っておる者がいるみたいじゃしな」
「はい!」
目を覚ますとクッションの上だった
そして見上げると、涙目のフィオナちゃん
「よかった、気が付いた! 心配したんだよミア!」
「良く生きていたものだ。肋骨から背骨にかけて骨がくだけて内臓を傷つけていたんだぞ。もう少し回復魔法が遅れていたら死んでいた」
ターナーさんのおかげで今の私の状況が分かった
薬液がしみ込んだ包帯をぐるぐるにまかれている私
生死の境をさまよって三日三晩寝込んでたみたい
その間一応街や村に配置しておいた分体は消えてない
報告もどうやらないみたいだから、帝国は村を襲いに来てはないみたい
ちなみに私が寝てる間に、分体にターナーさんたちの様子を見てもらっていたことから、ターナーさんはこの街の領主に帝国が村を襲ったことを報告していたことが分かった
ここの領主は旧友らしく、勇者をサポートしてくれてたみたい
その場にいればもっと詳しい情報が手に入ったんだけどなぁ
なにせ分体は一応自由意思があるから、見聞きしたところにところどころノイズが走ってるのよね
ちゃんと命令しておけばその通り動いてくれるんだけど、村の時みたいに
でも今回は昏倒しちゃって簡単な指令しか出せなかった
「うう、ミア、ミア」
フィオナちゃんを心配させちゃった
「それにしても治りが早いね。やっぱり普通の猫じゃないね」
ティティスさんの治療のおかげで私はなんとか命をつなぎとめてたっぽい
感謝感謝ですよ
そういえばティティスさんみたいなすごそうな魔法使いでも、私の正体が分からないってことは、もしかして鑑定みたいな力はないのかな?
ティティスさんを鑑定してみると、探知魔法や鑑定魔法というものはあるものの、鑑定魔法はアイテムなどがどの程度のレア度で、どんな効果があるのかなどが分かるものだった
なるほど、私みたいに生物を鑑定はできないのか
「まあ意外と元気そうでよかった。ミア、何があったのか知らないが無茶はするな。フィオナが悲しむぞ」
「んなああぁぁ」
反省の声を出す
「ううううあああああん、ミア、ミアぁああああん」
涙と鼻水でベトベトになったけど甘んじて受けよう。心配させちゃってごめんね
それから大事をとって私は数日間宿でお世話になった
その間は分体たちを使って情報収集
この国や周辺国との関係を調べたよ
まあその話は後々語るとして、今日は村に戻る日
ただ村に戻ってからは引っ越しの準備になる
副都に引っ越すんだ
もちろんフィオナちゃんの勇者としてのお勉強のためだよ
あの村の子供ってフィオナちゃんともう一人、メアリーことメアリンドちゃんしかいない
メアリー、さびしがるだろうなあ
何せフィオナちゃんと親友だし
ともかく、私達は再び馬車に乗ってアルト村へと帰った