転生者15
その正体は、非常に可愛い小さな和風お姫様!
え、え、この子が、トガツメヒメ?」
「わらわはのう、にゃんこ大好きなんじゃ。前世・・・。いやあれ死んでるから前世と言えるのかのう? まあ前の世界では霊体になってもにゃんこを愛でておった。まああっちでは魔力が足りなくて物理的に触ったりはできんかったがのう。でもこっちでは別じゃ! 触りたい放題! これが触らずにいられるか? のうにゃんこよ」
「あの、えっと、トガツメヒメ様?」
「よいよい様などつけなくとも。同郷じゃろお主。わらわの呪眼には全てが見えておる」
「じゅがん?」
「呪いの目じゃ。これで見られたものはわらわが直接呪いをかけることができる」
「ひぃいい」
「あんぜずともよいよい。呪いには二つの側面がある。一つはその通りのろいとしての側面。そしてもう一つはまじないとしての側面じゃ。今わらわがお主を見た呪眼はの、まじないの方じゃからして、ほれ、もう前足はよくなったじゃろ?」
「あ、え? すごい! 呪いが消えてる!」
あの一瞬で呪霊の呪いを解いちゃった
すごすぎるよトガツメヒメ
「それでなんじゃ、わらわの猫になりに来たのかえ?ミアよ」
「いや呪いを解いてもらいに来ただけですけど。それに、もうわかってるんでしょう?」
「うむ、お主は転生者じゃの。わらわと同じじゃ」
「トガツメヒメも転生者なの?」
「転生、というのかは分からんが、気づいたらこっちの世界で幽霊という種族になっておった。呪霊だったのに弱体化じゃよまったく。そこからは苦労したものよ。当時のアンデッドの扱いなど魔物と変わらんからな」
トガツメヒメはしみじみと思い出に浸ってる
「さてと、勇者も来とるのじゃろう? こっちに呼んで話でも聞こうかの」
彼女はそう言うとスーッと浮かび上がり、壁をすり抜けていった
その直後
「キャアアアア!!」
フィオナちゃんたちの悲鳴が上がった
そしてトガツメヒメと共に来る涙目の三人
「ひっひっひ、上手くいった上手くいった。泣きおってからに、可愛いのう」
この人アザンテさんと同じく悪戯好きなのか・・・
「トガツメヒメ様、冗談が過ぎます。あんなの見せられたら誰だって悲鳴をあげますよ」
「様はいらんぞ小さな勇者。わらわのことはトガツメヒメと呼び捨てにせよ」
「でも一国の姫ですし」
「構わんと言うに。わらわは堅苦しいのは好かんからの」
「ではトガツメちゃん?」
「おお、それは良い良い。わらわ、ちゃんってつけられるの好きじゃ」
この人、こう見えて二千歳超えてます
まあ見た目が子供だから全然違和感ないけどね
「それで勇者、わらわはお主の話を聞きたい。今までどのような冒険をしたのかの? どんな信念をもって勇者をしておるのかの?」
フィオナちゃんは話した
途中私やメアリー、エルヴィスの注釈も入ったりしながらね
タルニャはちょっと前に加わったばかりで、フィオナちゃんと合流するまでは勇者らしい活動はしてなかったみたい
まあ彼女はこれからだね
「といったところです」
「なるほど、守り助けるためか。勇者はやはりそうでなくてはな!」
トガツメヒメは笑い、スッと目をこちらに向けた
「わらわの加護をやる。まじないじゃ」
キーンと耳鳴りがしたかと思うと、フィオナちゃんとタルニャの体が黒い光に覆われた
「体が、軽いですわ」
「ふふふ、わらわの加護はそのまじないが身体を強化し、悪いもの、たとえば呪いや怨念を受け付けなくなるのじゃ。結構役に立つぞ」
「ありがとうございます! トガツメちゃん!」
「うむ! また来るとよい。歓迎するぞ」
トガツメヒメ、こうしてみるとかなり可愛いにゃー