勇者4
タルニャは自分の得た情報に鼻息荒く大満足していた
バララスラの勇者フィオナがいる場所の有益な情報
バララスラの王の予測が正しいならば、クピト山のダンジョンで勇者装備を手に入れようとしているだろうとのこと
「クピト山なら確かバララスラから山脈を越えて・・・。遠い、ですわね。これじゃあ合流する前にどこかへ行ってしまいますわ。どうにかなりませんこと?」
独り言でブツブツとつぶやいていると、王は提言した
「勇者タルニャよ。わしの友人に翼人族の者がおるのだが、ちょうどクピト山麓の森エルフたちに用事があると言っていた。運んでもらえるか頼んでみよう。なーに、彼なら人の一人や二人軽く運ぶぞ」
「そ、それは助かりますわ!」
すぐに呼ばれる翼人族の男性
名前はホルン。ただのホルン
見た目は上半身裸で鷹の翼を持った男性で、ぱっと見は一般人に見えるが、実は翼人族の国ガルディウス王国の王様だった
「え、え、ガルディウス王?」
「いーや、ただのホルンだ。国にいない俺はただのホルンで一般翼人族ってわけ。さて、君を連れて行けばいいのかな?クピト山に」
「あ、あああ、あの」
「いいってことよ、お安い御用ってね」
ホルンはそう言うとタルニャをひょいと抱え上げた
「ひゃん」
「じゃ、行きますか。じゃあまたな、バララスラ王」
「うむ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいまし。まだ心の準備がぁあああああああああああああ!!」
タルニャが止める間もなく、ホルンはタルニャを抱えたままその雄大な翼で力強く飛んだ
その速さたるや、タルニャが途中で気絶するほどだった
そして一時間後、二人はクピト山の麓、森エルフたちの集落へと立っていた
オロロロロロロロと吐いているタルニャを介抱する森エルフたち
「ホルン様! 勇者ですよ? 丁重に扱ってもらわなくては困ります!」
「すまない。つい調子に乗ってしまった」
到着したとたんホルンは森エルフの長、テリュシュにものすごく叱られた