異変2
取りあえずの問題は解決したかな?とは思うんだけど、怖いからいくつかの分体を街に放った
帝国から来る怪しい人間を見つけたら私に報告が来るようになっているよ
「ありがとうございましたにゃリーダー。ほら、ホネガミもお礼を言うにゃ」
「ありがとうございますにゃ」
「ところでオシバナ。人間達にお礼をしたいって言ってたけど、具体的な案はあるの?」
「うにゅぅ、お魚をたくさん取ってきて、街の人にくばるにゃ」
「・・・。それもいいけど、花なんてどう? ほら、人間は生魚なんて食べるとお腹壊しちゃうし」
「そっか、それもそうにゃね。リーダーはやっぱり頭がいいにゃ」
ふぅ、やっぱり魚を取ってこようとしてたか。この街の猫全員が魚なんて取ってきたら街に魚の臭いが充満しちゃう
何はともあれ帝国が何かしようとしてるのは間違いない
はぁ、せっかく安住の地を見つけたって言うのに、戦争だの争いだのはいただけませんね
どうしよう攻めてきたら・・・。みんなを守れるかな?
「今は考えてもしょうがないか。とりあえず今日は宿に戻ろうっと」
猫たちと別れて私はフィオナちゃんの元へ戻る
フィオナちゃんそういえば、ターナーさんの友達の子供と会うって言ってたっけ
ターナーさんの友達はこの街に住んでるらしくて、ティティスさんとも古い付き合いらしい
その4人は昔馴染みって言ってた
宿に戻るとフィオナちゃんに掴まってどこかへ連れていかれた
「まってたよミア。お友達を紹介するね」
「んな?」
「下の食堂にいるの」
この宿の一階には食堂がある
どうやらそこに件の友人がいるんだと思う
というかもうその子供とも友達になっちゃったのか。さすがフィオナちゃん。コミュ力高い
「見て見てアスタ君。この子がミアだよ」
「うわぁ、フワフワで可愛いね!」
・・・。フィオナちゃん、この可愛い男の子ともう名前で呼び合う仲に
彼の名前はアスタ君と言って、ターナーさんの友達であるセピアさんとマーズさんの息子だ
セピアさんはこの街の神殿の神官で、マーズさんは商人だって
あ、一応この国の宗教は猫女神バステト様を信仰してる
だから猫たちも可愛がられてるんだよね
「さ、触ってもいいかな?」
「イイ?ミア?」
「んなーん」
もちろんオッケーですよ
あ、耳の裏をお願いしますゴロゴロゴロゴロ
「フフ、気持ちいいって」
「カワイイね!」
この子達、猫の扱い慣れてる。ああ、そこ、気持ちいいにゃぁ
「さてと、そろそろ帰るぞアスタ」
「えーもうちょっと」
「明日また会えるから、な?」
「わかったよ父さん」
「じゃあなターナー。会えてよかったよ。フィオナちゃんにも」
「ええ、またねフィオナちゃん」
「うん! セピアさん、マーズさん、アスタ君! またね!」
なんだもう帰っちゃうのか
あ、もうご飯の時間だね。今日は何かなぁ? 楽しみ
なんて考えていると、ターナーさんが真剣な顔でフィオナちゃんの顔を見た
「どうしたのお父さん。怖い顔して」
「ああ、フィオナ。君に伝えたいことがあるんだ。落ち着いて聞いてくれ」
「え?え?」
なんだろう。フィオナちゃん、何事かって混乱してる
「フィオナ。いや、亡国ルーニシア王女フィオナ様。あなたは、私の娘ではなく、先代勇者レノンとルーニシア王女のルシア様の娘。勇者姫なのです」
衝撃的な発言だった
まって、頭がついて行かない
フィオナちゃんはショックで固まってしまってるし
それからターナーさんは今までの経緯と、フィオナちゃんが何者なのかを切々と語った
その話を最初こそショックで動けなくなってたフィオナちゃんだけど、しっかりと受け止めて聞いてるみたいだった