旅22
誘惑に打ち勝って、貴族区画
私達が冒険者の恰好をしていることもあって、貴族たちはこちらを見て来るんだけど、別に止められることはなかった
子供である私達をむしろ温かい目で見てくれてる気がする
そしてようやく王城へとたどり着いた
「む、君たちどうしたんだい? 冒険者ギルドなら商業区にあるよ」
兵士さんが私達に優しくそう言ってくれるけど、フィオナちゃんが王様からもらったエンブレムを見せると
「なんと! バララスラの勇者様とそのご一行でしたか! どうぞこちらへ!」
さすが勇者という称号と、王様公認のエンブレム
すぐに王様への謁見が許された
「こちらです勇者様」
兵士さんに案内されて、ハール国王、バスク・ハール王の前へ
フィオナちゃんが膝ま付いて、二人も慌てて膝ま付く
私はできないから伏せの態勢を取った
「そなたがバララスラの勇者であるか? なんと幼く可愛らしい子か。わしの息子の嫁に欲しいくらいじゃ」
「王様、今そのような話は控えてください」
「む、すまなかった」
横にいた王妃様に怒られるバスク王
「して勇者よ。魔王が復活したというのはまことか? 新たに現れたわけではなく?」
「はい。今私が知りうる情報は、バグクイーンの復活と・・・。ドールズの復活です」
「なんと! 二体もの魔王が復活、だと・・・、いや信じていないわけではないが、過去に類無き事ゆえ驚いたのだ。すまなかった」
「いえ、それで、ドールズという魔王は悪の異世界人たち、マデュラステラというものを組織しているようです」
「魔王に加えて異世界人たちまで・・・。報告ご苦労であったバララスラの勇者よ。そなたたち、ローリュでは街を守ってくれたそうだな? その働きに応じ何か褒美を取らせたいのだが? 何か欲しいものはあるか?」
「え、えと、特には」
ご褒美がもらえるなんて思ってみなかったから、皆どうしていいか分からない
「ふむ、欲のないことだ。まあそうでなければ勇者にはなれぬか。ならばこの国一番の宿と食事を用意させよう。そちらの、その、可愛い猫殿には我が国自慢の魚料理でどうか?」
「んにゃ! お魚は大好物だから嬉しいです!」
「なんとなんと! 喋るとはまた珍しい。それに、とんでもなく可愛いではないか。なあティエスよ」
「ええあなた。ぜひともモフモフさせていただきたいですわ」
ああ、やっぱりこの人たちも猫好きなんだなぁ
もちろん私は二人に歩み寄って、存分にモフられましたとさ