勇者2
ところ変わりバララスラの同盟国、アースランド王国
巨大な地下帝国で、バララスラから距離は離れているものの、良好な関係を築いているドワーフたちの王国だ
齢150歳の若い男性ドワーフが王で、超巨大鉱山を所有している
そのため鉱山からとれる鉱石や宝石によって莫大な富を築いていた
かつては帝国に狙われ、侵略戦争を仕掛けられたこともあったが、それは遥か遥か昔の話
少し前までは良好な関係を築けていた
しかし帝国がおかしくなってからというもの国交は断絶したままだ
「ふむ、それでタルニャよ、お前も旅立つというのだな?」
「はい叔父様、わたくしもバララスラの勇者と共に世界を救いたいと思います」
アースランド王国勇者タルニャ
元々この国でも優秀な騎士だった彼女は、現国王アドスの弟、ミドスの娘だ
姪ではあるが、アドスには息子しかおらず、彼女を娘のように可愛がっている
本来なら戦場などには出したくない王と王弟の二人だったが、本人がどうしても騎士になりたかったらしく、仕方なく許可したらメキメキと頭角を現し、騎士団長にまで上り詰めた末に勇者認定された
それだけに彼女の勇者特有のスキルはとんでもなく強く、どんな攻撃をもほぼ防いでしまう鉄壁の護りを誇っている
「しかしなぁタルニャよ。騎士団はどうするのだ? お前は騎士団長であろう」
「それなら問題ありませんわ。後裔の育成はできていますもの。ほら、バルドーという少年がいたでしょう?」
「ああ、お前と研鑽を積んでいたあの子か」
「彼はわたくしにも引けを取らない騎士です。彼にならば騎士団を任せられますわ」
「し、しかしタルニャ」
「叔父様、わたくしは勇者、いつかは旅立たねばなりません」
「ぐぅ、だってさみしいじゃないか! わしお前のことが心配で心配で」
「そうだぞタルニャ。お父さんもお前が怪我でもしないかとヒヤヒヤしておるのだ!」
二人の髭もじゃおやじが娘にすがる
「叔父様、お父様・・・。いい加減にしてくださいまし! 嫌いになりますわよ!」
「うう、タルニャ―」
「わしらを捨てんでくれぇ」
この親父たち、みっともないのである
その後泣きながら止める二人を尻目にタルニャは旅立つのであった